2013/06/24

ショーウィンドウ化を逆手に取ったアパレルブランドBonobo



ECサイトが発達した影響で、多くのアパレルブランドやファッション雑貨店は店舗ショーウィンドウ化の恐怖におののいている。
ショーウィンドウ化とは顧客が小売店では商品を見たり試着したりするだけで商品を購入せず、実店鋪より安かったり自宅まで届けてくれるECショップで購入してしまうという現象だ。
小売店からすれば頭の痛い問題がもしれないが、消費者からすればとても理にかなった行為と言えるだろう。

このショーウィンドウ化という現象をむしろポジティブに捉え、活用しているブランドが現れた。

米国ニューヨークにBonobos(ボノボ)というEC専門のメンズアパレルブランドがある。
このブランド、スタンフォードMBA卒のAndy DunnとBrian Spalyによってシリコンバレーで産声をあげたという珍しい経緯を持ったアパレルブランドだ。
ファッションが大好きであるにも関わらず実店舗での購入が煩わしいと感じていた創業者によって生み出されたブランドだけあって、商品の販売はECショップだけで行われている。


そんなBonobosがワシントンDCにオープンした店舗が話題になっている。
この店舗はショーウィンドウ機能として作られており、商品を見て試着することはできるが一切購入することはできない。
デザインを見繕って試着してサイズを決めたらECショップで買ってください、という極端なコンセプトで作られている。
しかもしっかりフィッティングのアドバイスができるよう、完全予約制となっている。

まさにショーウィンドウであることを極めた店舗だが、話題性だけでなく実質的なメリットも少なくない。
店舗の商品を売るわけではないからレジ担当もいらないし商品の品出しや棚卸も必要なく、一般的な小売店と比べて人件費を抑えられる。
ECショップでの購入はもちろん人件費が掛からない。

さらに、店舗で購入しないということは店舗の商品が回転しないということなので、在庫のためのバックヤードもほとんど必要ない。
店舗物件面積のうち殆どを販売スペース(販売しないけれど)に費やせるので、物件の利用効率も良い。

購入する側にとっても、カートを持ち歩かずに済む、購入するために並ばなくて済む、買わなくても罪悪感を感じずに済むというメリットがある。

ただ、もちろんネガティブな面もある。
実店舗と違って選択してからECショップで購入するまでの時間差があるため、コンバージョン率が下がってしまう可能性が高い。
平たく言うと、店舗では買う気まんまんだったが、家に帰ってきたらすっかり熱が冷めてしまってやっぱり買わなくていいや、と心変わりしてしまう可能性があるということ。



通常のアパレルショップや小売店は、店舗のショーウィンドウ化をネガティブに捉えてしまう。
店舗をショーウィンドウとして使うことは、小売店からすればあってはならないことかもしれないが、消費者からすると便利で自然な考え方だ。
両者の感覚には大きなギャップがある。

だからこそBonobosのような試みは消費者に受け入れられ、小売店の価値を根底から変える大きなトレンドの波になるかもしれない。
そのとき、実店舗を持つ小売店はこの変化に付いて行かなければ振り落とされてしまうだろう。

0 件のコメント :

コメントを投稿

LinkWithin

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...