2013/07/07

ANAのO2O戦略


ネットやスマホを活用したプロモーションとして、O2O (Online to Offline)という言葉はマーケターだけでなく、一般的に定着してきたのではないだろうか。
O2Oという言葉は一般化したものの、効果的かつ効率的で、再現性のあるO2Oのベストプラクティスはまだまだ模索中の段階と言えるだろう。

今現在において最もありがちなO2Oマーケティングは、割引クーポンを配布することで顧客に購買行動を促すプロモーションだろう。
ぐるなびやホットペッパーなどのクーポンサイトも、グルーポンのようなフラッシュマーケティングも、安売りで自店舗に顧客を呼び込むためのO2Oの手段だ。

クーポン型のO2Oは、百貨店のバーゲンセールやスーパーの特売と同じ弱点を持つ。
バーゲンや特売は一時的な売上増には繋がるが、バーゲンハンターと呼ばれる価格反応性が高い顧客が集まっただけで、バーゲンが終わればすぐに売上が元に戻ってしまう。
継続性がないのだ。
それ故に、一度バーゲンや特売を行なってしまうと、麻薬患者のようにバーゲンや特売をせずにはいられなくなってしまう。

クーポン型のO2Oでも全く同じ禁断症状が発生してしまう。


一方、最近ANAが開始したO2Oキャンペーンは、特売禁断症状になるような安易なクーポン配布は行わず、企業ブランディングの向上と集客キャンペーンの両面で参考になる事例だ。
以下引用でANAの取り組みを追ってみよう。

日経MJ 2013/7/5 P.3――――――――――
全日本空輸(ANA)のコミュニケーションサイト「ソーシャル・スカイ・パーク(SSP)」が消費者と活発なやり取りを続けている。サイトへの投稿数は前年比20〜30%増。 (中略) ANAのマイレージクラブの会員で、フェイスブック(FB)かツイッターにアカウントを持っていれば、だれでも利用できる。サイトの運営側は毎週「今年のボーナスは何に使う?それともためる?」などのお題を出す。利用者はこれに答える形で投稿すると「ANASKYコイン」が25〜100コインもらえる仕組み。1コインは1円とし、10円単位で旅行代金に充当できる。
――――――――――――――――――――

ANAマイレージポイントは、今のところANAか提携航空会社のフライトに登場するか、クレジットカードのポイントで貯めるのが基本的な貯め方だ。
だが、飛行機を使って旅行やビジネストリップする人ばかりではないし、クレジットカードをほとんど使わない人も多いため、ANAマイレージポイントは実は顧客リーチが狭いと言えるだろう。
しかし、SSPの施策では大幅にハードルが下がって、ほとんど誰でもポイントを貯めることができるようになった。
SSPの問いに回答し続ければ、だいたい半年で5000ポイント貯まるそうなので、それなりに利用者としてもボリューム感のある値引きになる。


ANAの取り組みの賢い点は、長期間SSPでコミュニケーションをとり続けることでポイントが貯まるという点だ。
何となく一回二回気まぐれで回答する人はいるかもしれないが、それを継続できる人はあまり多くないだろう。
だが、回答を続けてそれなりのポイント数を貯めた人は、高確率でANA機に搭乗しポイントを利用しようとするだろう。
そして、引き続きSSPとコミュニケーションをとってポイントを溜め続けるロイヤルカスタマーになり続ける可能性は高い。

ANAのO2O戦略は単純なフラッシュマーケティングのようなすぐに結果の出る施策ではない。
時間はかかるし、最後まで回答し続けてくれるカスタマーの絶対数はあまり多くないだろうが、ロイヤルティの高いANAファンを作り出す実践的な仕組みだ。
航空券のような単価が高く、LCCという強力な手軽軸(安くてコストパフォーマンスが高い価値提供者)のライバルが存在する条件下では、ロイヤルティの高いファンを獲得するメリットは高い。

O2O戦略は、いや、全てのマーケティング戦略は、ANAのSSPのように自社のポジショニングを鑑みた戦略であるべきだろう。

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