2013/07/05

クルトガが教える「業界の常識」の弊害


業界で消費者のニーズとされていることが、すでに時代が変わって本当のニーズではなくなっているかもしれない。
業界に携わっている人ほど業界で常識とされている消費者ニーズに引きづられて、本当のニーズが見えなくなっている。
シャープペンシルに対する業界の常識を覆し、本当の消費者ニーズを捉えてシェアトップに踊りでたのが三菱鉛筆の「クルトガ」だ。


クルトガの売りは、業界が認識していた従来の消費者ニーズである「書いていて疲れない」という点ではない。
クルトガが解決したのは、今まで多くの人が感じていたものの誰も解決してくれなかった、芯が斜めに削れてきて文字が太くなってくるという問題だった。
三菱鉛筆はシャーペンの内部に筆記時の運動で芯が回転する機構を組み入れ、斜めに芯が削れる前に芯を回転させることでこの問題を解決したのだ。


シャーペンの既成品を見ているとわかるが、少し高価なシャーペンのほとんどは持ち手に工夫がされていて、指が疲れないということにトッププライオリティが置かれている。
どのメーカーもシャーペンのフラッグシップモデルでは書いていても疲れにくいことで競い合っていた。
だが、持ち手の違いによる書きやすさ競争は高度になりすぎて、もはや消費者にとっては違いが分かりにくい、さして重要ではない差別化要素になっていたのではないだろうか。

三菱鉛筆が解決したのは、業界が常識としている書きやすさ・疲れなさの裏に隠れていた「見えざる未解決の課題」であった。
恐らく、どのメーカーもニーズとしては認識していたはずだが、クルトガによってこの長年の課題が解決されたのは、日本でシャープが初めてシャーペンを販売してからほぼ100年も後だったのだ。

なぜ利用者の誰もが感じていた不満を解決するのにこれだけかかってしまったのだろうか?
一つには技術的な問題があったのかもしれない。
素人の私には分からないが、筆記運動に呼応して回転する機構を作るのは非常に技術的に高度なのかもしれない。

しかし、根本的には消費者の問題意識の理解不足があったのだと思う。
書きやすい持ち手の形状は開発しつくされてもはや個人の好みの問題に過ぎず、消費者の問題意識は「文字が太くなる」というポイントにフォーカスが移っていたのに三菱鉛筆以外のメーカーはそれに気が付かなかった。
それはシャーペンの仕様だと高をくくっていたのかもしれない。

だが、持ち手の改良競争は、スポーツカーやスポーツバイクの馬力競争のように意味がないとわかっていつつも抜けられないチキンレースになっていたのではないだろうか。
持ち手の改良競争からプライオリティをシフトできなかったのだろう。
同じような間違いは、他の業界でも間違いなくそかしこで起きていることだろう。


本当の問題は見過ごされていることがある。
業界の常識に隠れて見えなくなっていることもある。
また、わかっていても競争のための競争から抜けられず、プライオリティを変えられないでいる。

そんな失敗、あなたの会社も犯していないだろうか?

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