2013/07/27

社会課題解決の鶏と卵



新たな事業を打ち立てたいという動機の一つに、社会問題を解決したいという高い志もあるだろう。
社会問題を解決するような事業をしたい場合、ビジネスモデルを考える上でとても難しい問題に出くわす事がある。
それは、クライアント(直接の顧客)とカスタマー(顧客の顧客)がある場合、どちらの課題を初めに解決すべきかという判断だ。

そもそも社会問題が発生しているということは、クライアントとカスタマーの利害が一致していない状況であるということだ。
解決したければ両者の課題を解決する必要があるのだが、どちらのペインを先に取り除けばマイナススパイラルが正のスパイラルに変えられるかという判断が難しいのだ。


分かりにくいので具体例をあげよう。
女性雇用のM字カーブ(10代後半から20代前半の雇用率が高く、子育て世代の女性雇用率が下がり、子育て完了世代の女性雇用率がまた上がる現象)を解決したいとする。
解決したいのは子育て世代の女性をどうやって就業させるかという問題だが、そのためには企業に対していかに子育て世代の女性の採用に魅力を感じてもらうかがキーになってくる。
だが、ここに大きな負のスパイラルが存在する。

企業の立場からすると、子育て中の女性には短い就業経験しかなく、スキルがないためスキルを必要とするポジションには採用しづらいと感じていることが多い。
一方、子育て中の女性からすると、スキルが必要なポジションに採用されないからスキルが身につかず、簡単な事務仕事にしか採用されないと感じている。
どちらの立場の意見も尤もなことで、卵か先か、鶏が先かの議論になってしまう。

一網打尽にこの状況を解決するのは恐らく難しい、というか双方の利害が複雑に絡まっていて、一撃必殺のような解決は不可能だと言っていいだろう。
だが、絶望することはない。


こういう時は、部分的な改善であっても一番効果がある改善案からまずは実行していく。
例えば、コールセンターのようなビジネスは子育て世代の女性と親和性が高い。
他者とのコミュニケーションに長け、相手を慮って物腰の柔らかい対応が出来る人が多いからだ。
こうしたターゲットカスタマーを採用しやすいビジネスを始めて、そこから採用した人々のスキルアップを手助けし、そこでさらに専門性の高い仕事をしてもらうなり、別の会社へ転職するなりして支援すればいい。


志高く、難しい問題を解決しようとすればするほど、問題は複雑でベストな解決策が見えない。
そんな時は、まずベストではなくても状況を良くするベターな事業を始め、そこからもう一つ上のステップの課題解決を狙っていくしかないだろう。


photo credit: Moosicorn via photopin cc

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