2013/08/27

14町村のITシステムをまとめた神奈川県町村情報システム共同事業組合の鮮やかな手法

神奈川県町村情報システム共同事業組合という組織がある。
この組織の役割は神奈川県内にある14の町村共通の情報システム部門として安定したシステムの運用とセキュリティ向上、そしてトータルコストの削減に務めることだ。

この組合ができるまで、各町村はITベンダーへシステムの構築を丸投げしてITシステムの運用コストや改修コストが高く付いてた。しかし、各町村共通システム基盤をクラウドへ移管し、ITシステムのコストを30%削減することに成功したのだ。

高止まりする自治体のITコスト

自治体のようにITシステムの構築をITベンダーへ丸投げすると高く付く。ユーザーである自治体はビジネス要件だけRFP作成担当のITベンダーへ投げ、担当するベンダーが我田引水なRFPを買いてたっぷりピンはねした値段で受注するのがよくあるパターンだ。

共同調達、共同仕入れによるコスト削減というのはIT分野にかぎらずコスト削減の方法としてよく使われる手段だ。だが、ITシステムは単純にボリュームを増やせば安くなるという単純なものではなく、導入後の運用コストやシステム改修コストなども継続的に発生する。トータルでコストダウンを実現するにはその道のプロが味方にいなければ難しい。
神奈川県の14の町村は情報システム共同組合という14町村共通の情報システム部門とも呼ぶべき組合を組織することでこれを実現したのだ。

14町村のITを統合した鮮やかな手法

複数の組織のITシステムを統合管理する一つの組織を作ってトータルコストを下げよう、という発想はそう珍しいものではないが、これを実現するのが困難であることは簡単に想像がつく。
一番もめるのは14の町村で共通で使用するシステム基盤の仕様決定だ。各町村はそれぞれにわがまま放題の独自仕様でITベンダーに開発を委託したシステムがある。どの自治体も今利用しているシステムの機能や仕様は100%新しい共通システム基盤にも反映されていて欲しいと思うものだ。

町村情報システム共同事業組合はこの問題に対して、最初の共通システム基板の要求仕様公開にあたってはいかなる小さな要望についても削ることなく、全ての町村の全ての要求を全部のせして公開した。仕様項目数は1000を優に超え、その中には矛盾した仕様もあっただろうが、とりあえずこの大胆な手段のお陰で要件が決まらずにいつまでたってもプロジェクトが前に進まないという状況は防ぐことができた。
恐らく意見調整をしてちゃんとした要求仕様を作ろうとしたならば時間切れになってプロジェクトは空中分解していただろう。

次にプロジェクトが挫傷する可能性のあるポイントは最終仕様の決定とベンダー選定だが、ここでも町村情報システム共同事業組合は鮮やかな手段で解決した。
彼らは意思決定の場にユーザーを積極的に参加させたのだ。システム選定の場に実際にそのシステムを使用する職員を集め、システムを操作してみて最も良いと思うものに対して評点を付けさせ、得点が最も高かったシステムを選択した。
つまり、意思決定にユーザーの意志を色濃く反映させることによって、「誰かが勝手に買ってよこした使いづらいシステム」と思われることを防いだのだ。


自治体という統合するのが難しそうな14もの組織を統合して3割のコスト削減を実現した実績は素晴らしく、その手法は学ぶべきところがある。
民間企業でも稀にみるシステム統合のベストプラクティスなのではないだろうか。

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