2013/08/11

新規事業開発の型2. ロックイン開放型参入



新規事業をうまく軌道に乗せるための型を言語化する「新規事業開発の型」シリーズ。
今回はロックイン開放型参入について考えてみたい。

ロックイン開放型参入とは

ロックイン開放型参入とは、ある業界の大手企業が顧客を自社製品にロックインするために課している制約よって、顧客が被っている不利益を解決する製品やサービスで参入する型だ。ロックインされている顧客は全く不合理な企業側の都合による制約で不利益を得ていることが多々ある。そして、当の本人たちは不利益を被っている事実を自覚していないこともあるのだ。
このモデルでは彼らが被っている不利益を自覚させ、代替となる商品を提案し、守りに入っている大企業から顧客を奪うことを目的としている。

携帯キャリアメールの例

分かりやすい例は、携帯のキャリアメールだ。携帯のキャリアメールはキャリアを変更すると必然的にドメイン名(@以降のアドレス)が変わってしまうため、アドレスの変更を友人に伝えるのが面倒でキャリアを変えたいのに変えられないという人が多かった。しかし、FacebookやLINEなど代替コミュニケーションツールが発展することにより、キャリアメールという縛りが弱体化した。昨今キャリア間の移動が活発になってきた背景には、代替コミュニケーションツールの発達によりキャリアメールによるロックインの効力が弱まったからだろう。

参考エントリー:

携帯電話のロックインの話をすれば、2年契約縛りの利用契約も顧客に不利益なロックインの手段だ。これも最近では縛りの少ないbmobileなどMVNO事業者が現れ始めている。


ロックイン開放型参入のポイント

顧客をロックインしようとする試みは、企業にとっては当然の戦略である。業界のトップ企業は初めに莫大な投資を行い顧客を獲得し、その獲得した顧客に長く自社の商品を利用し続けてもらうことで顧客の生涯価値を高め、利益率を獲得する。顧客を新たに獲得するよりも既存顧客を保持し続けるほうが投資対効果が高く、企業は既存顧客を様々なほうほうでロックインするのだ。そのロックインの方法は得てして顧客に不利益な制約を課すことが多いのだ。
そこに、ロックイン開放型の新規事業参入がある。

ロックイン開放型参入が有効となるポイントは以下の3点だろう。

1. 顧客に不利益な方法でロックインがされている
2. 自社へ乗り換えることによる具体的なメリットを訴求できる
3. 大手企業が模倣しにくいビジネスモデルである。

まず、現状顧客が大手企業のロックインで不利益を被っていることが、この型のそもそもの前提条件だ。
2番目は乗り換える事によってどんな具体的なメリットがあるのかを説明できること。前例のキャリアメールがLINEに取って代わられたことは、「キャリアが変わってもIDは変わらないので、気兼ねなくキャリアを変えられる」というメリットが訴求できる。そして、このメリットに魅力を感じる潜在顧客が、自社のビジネスが成り立つ一定数以上いるかどうかも気にかけるべきだ。
最後に、今顧客に不利益なロックインを行なっている大企業が、簡単にこちらのビジネスモデルに踏み込めないこともポイントになる。経営資源で言えば業界の主要プレイヤーにはかなわないのだから、相手も簡単に模倣できるビジネスモデルでは簡単に押し負けてしまうだろう。あなたのビジネスモデルに手を出すと、自社の顧客がカニバって不利益を被るようなモデルであると、なかなか手が出せない。そして競合の大企業が苦渋の決断であなたのビジネスモデルを模倣する頃には顧客の流出が止まらず手遅れであるというのが理想的な試合運びである。


photo credit: stuant63 via photopin cc

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