2013/08/31

企業が米国海兵隊に学ぶべきリーダーシップ 2

海兵隊

今回も引き続き、HBR出版の「いかに「サービス」を収益化するか」に収録されている、Jon R. KatzenbachとJason A. Santamariaの論文"Firing Up the Frontline"から、米国海兵隊に学ぶリーダーシップの2つ目のエントリーだ。


前回のエントリーでは、元の論文の5つの章立てのうち、「1. 中核となる価値観について徹底的に教育する」、「2. 全員がリーダー役をこなせるように訓練する」について書いた。今回は残りの3つの章立てについて書いていきたい。


1. 中核となる価値観について徹底的に教育する
2. 全員がリーダー役をこなせるように訓練する
3. チームとワーキング・グループを区別する
4. 成績の劣る人間に注意を向ける
5. 規律を利用して誇りをもたせる


3. チームとワーキング・グループを区別する

この論文によるとチームとワーキング・グループは明確に異なるグループの運用方法である。私も含めてだが、これら二つの違いをあまり考えずに使っている人が多いのではないだろうか。

ワーキング・グループとは、ある課題に対して知見があり解決策を知っている一人のリーダーと手足となるメンバーで構成されたチームである。メンバーはアサインされたタスクを期限までに忠実に完了することにだけ責任を持っており、リーダーはこれらチームメンバーをマネージして最終的な結果に対する責任を持つ。

一方、チームとはメンバー全員が協力して課題解決のための方法を定め、それぞれが適切なタスクを持ちまわって全員が一緒にゴールに向かっていくアプローチだ。メンバー全員がそのチームのプロセスに責任を持ち、他のメンバーのアウトプットに責任を持ち、そしてチームの結果に対して責任を持つ。

企業ではチームとワーキング・グループの機能の違いが認識されないまま、目的に合わない指揮系統のグループが作られている。特に、皆である解決へたどり着くためのチームを組成したと言いながら、実質的にはリーダーである役員のワーキング・グループ状態なのに、アウトプットの責任だけはチームメンバーにも持たされている、というような中途半端なチームが多いのが現実ではないだろうか。

海兵隊では、ライフルマンや砲撃手、砲撃助手、そしてリーダーなどのすべての役割を経験させ、チームとして振る舞わなければならない場合とワーキング・グループとして振る舞わなければならない場合を、隊員は正確に理解している。


4. 成績の劣る人間に注意を向ける

海兵隊では、落ちこぼれや役立たずを作らないことのために指揮官のリソースが割かれている。その理由は、命に危険が及ぶような状況で、自分のチームに全く役立たずのメンバーがいる状況を想像すればすぐに分かることだろう。成績が劣る人間を早めにケアしてチームの底上げを図ることは、自分たちの命にかかわる重要なことなのだ。

一方で、普通の企業では成績の劣る人間に対してリーダーのリソースを割いて底上げを図ろうとするモチベーションはとても低い。企業はできる限り優秀な人間にだけ金と時間を集中して投下しようとするものだ。

優秀な人間だけを育てて優秀でない人間はリプレイスするという人材戦略は合理的な考え方に思えるかもしれない。しかし、ひとつの企業を全て優秀な社員で固めることなど不可能だろう。どの会社も優秀な人材を採用するのに苦労している。
いつまでも優秀な人材を採用できないことに手をこまぬいているくらいならば、優秀でない人材の成長を促すために経営リソースを使うことは妥当な選択ではないだろうか。


5. 規律を利用して誇りをもたせる

一般的に、規則は社員が好き勝手して組織を崩壊させないために必要な縛りだと考えられているが、海兵隊では隊員に誇りを持たせるエンパワーメントのツールとして利用されている。

海兵隊の隊員は「自分自身が最も厳しい上官になれ」、「他の隊員に規律を守らせる同僚になれ」と教えられるそうだ。これは文字通り他の隊員に規則を守らせて海兵隊の規律を守ろうということではない。隊員は厳しい訓練をこなしていくことで、規律を守ることが自らを助け、他の隊員を助けるものであることを身を持って理解していく。その過程で規則を守ることの重要性を理解し、そして規則を守っている隊員ほどチームに貢献していることを学び、規律を守ることが誇りにつながるのだ。



優れた海兵隊員は隊の一員であることに強い誇りと自負心を持っている。そしてその組織の規律を守ることに全力である。このすぐれた海兵隊員の姿は、エクセレントカンパニーと呼ばれる一流の企業の社員と全く同じなのではないだろうか。
企業は海兵隊から組織の作り方を学べる部分が沢山あるだろう。



関連エントリー:
2013/8/31 企業が米国海兵隊に学ぶべきリーダーシップ 1





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