2013/08/20

「イノベーションのジレンマ」まとめ




ビジネスパーソンなら誰しも一度は名前を耳にしたことがあるであろう、クレイトン・クリステンセンの名著「イノベーションのジレンマ」。私もオーディオブックでは何度か流していたが、初めて書籍でちゃんと読んだ。
やはり名著と名高いだけあって目から鱗が何度も落ちてきた。せっかくなので簡単なまとめを記してみよう。

本書は破壊的イノベーションの性質と、その対処法について書かれた本だ。破壊的イノベーションとは、ある目的を満たす商品やサービスの非連続的な進化だ。
非連続的な進化というと、全く新しい技術による飛躍的な進歩をイメージするが、実際は枯れた技術で実現することが多い。

例を上げると、ノートPCはより小さく携帯性が上がるベクトルとよりスペックが上がるベクトルへ持続的な進化を遂げている。しかし、ここに非連続的な進化を遂げた製品が出現した。タブレットだ。
タブレットはノートPCよりも限られたスペックや機能しかなく、長文をタイプしたりコンテンツを作成するのには向いていないが、コンテンツの閲覧という要素に絞った用途でPC市場からシェアを奪いつつある。

破壊的イノベーションはローエンドを侵食する

破壊的イノベーションの特徴は、常にその製品カテゴリのローエンド市場を席巻することにある。

同じ製品カテゴリーの大企業が既存事業とのカニバリズムを恐れて手を出せない間に、一気にローエンドマーケットを席巻する。破壊的イノベーションで成功した企業は、その原資を元によりハイエンドなカテゴリーへ移動する。そして、また別の破壊的イノベーションによって危機にさらされるのだ。

大企業が破壊的イノベーションに参入が遅れる理由

1) 資源配分の決定権は経営者でなく既存顧客と株主が握っている
経営者は、イノベーションが既存顧客のニーズに合っているか、大企業の成長意欲を満たす明確なマーケットが存在するという条件を満たさない意思決定は実質的にできない。

2) 現場のマネージャーが真っ当に誤った判断をする
経営者が破壊的イノベーションに追従せよと号令を出しても、現場のマネージャーは顧客にとって価値のあること、自社にとって価値のあることを見極めて正しく持続的なイノベーションにリソースを配分する。現場マネージャーの正しい判断により、大企業の対抗策は遅れを取るのだ。

3) 組織が破壊的イノベーションを追求するデザインになっていない
連続的な進化と異なり、非連続的進化には失敗が付きものだ。しかし、大企業は次につながる可能性のある失敗を犯したマネージャーよりそこそこの成功を収めたマネージャーを優遇する。前者はむしろ失職の可能性すらある。
こうした組織は破壊的イノベーションの追従には向かない。

4) マーケットが小さい
新しく作りだされたローエンド市場は、売上としても利益としても大企業にとって魅力的ではない。

生存確率の高い破壊的イノベーション対処法

その要素技術を持った企業を買収するか、小さなスピンオフ組織を作って独自に戦わせる。
大企業は破壊的イノベーションを追求するのに適した組織ではない。資源配分の決定権は既存顧客や株主が持っているし、普通は破壊的イノベーションに取り組んで失敗したマネージャーを評価しない人事システムになっている。さらに、破壊的イノベーションに追従してもリスクに見合った売上を上げるだけのマーケットがあるか分からないどころか、既存事業とカニバる危険性すらある。
こうした既存事業のしがらみによって、大企業の破壊的イノベーションへの取り組みは失速することが多いだろう。

独立性を与えられたスピンオフ組織ならばしがらみに囚われることなく破壊的イノベーションを追従することができる。

成功する事業とは

成功する事業に必要なことは、初めに正確な戦略を描くことではない。重要なのは、事業を始めるときに立てた仮説の間違いから学んでピボットするためのリソースを保留しておくこと。また、失敗から素早く学び、新しい戦略を立て直すスピード感と正確な打ち手と大胆さだ。

新しい製品やサービスを世に出す新規事業なら、マーケットはまだ存在していないことになる。存在しないマーケットの正しい予測を立てて正しい戦略を練ることは不可能。顧客ニーズを決め込んで過大な投資をせずに、まずプロトタイプを世に出してテストマーケティングを行い、得られた顧客の反応から素早く学んで商品に改良を加えてPDCAのサイクルを回すことが成功の秘訣なのだ。




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