2013/09/02

Virtusizeはマーケットインアプローチの見本


Virtusize

日本のアパレルECサイト「MAGASEEK」で、購入しようとしている服と自分が持っている服のシルエットを並べてサイズ感を確かめるサービスがスタートした。
普通のECサイトでも寸法はサイズで書いてあるが、実際に買ってみるとやはり結構想定と違っていたりすることがよくあるものだ。このサービスを利用すれば、自分が持っている服との比較でさらに正確なイメージを持つことができる。


このサービスはスウェーデンのスタートアップ企業、「Virtusize」が提供しているサービスだ。サービスを開始したのは2011年だが、欧州を中心に25のECサイトで利用が始まっている。
Virtusizeを利用したECサイトでは、サイズ関連のクレームや問い合わせが50%減少したという。


Virtusizeを実際に使ってみると、思わず「なるほど」とか「なんで今までこの方法を誰も考えつかなかったのか」と思ってしまう。それぐらいVirtusizeが解決したサイズ問題はECサイトで服を購入する上で人々の共通の悩みであったし、その解決方法は至ってシンプルであった。
マーケットにある様々なペイン(悩みや問題)の解決を試みるために商品を開発することを、マーケットインアプローチという。Virtusizeもまさに服のサイズの悩みを解決するマーケットインアプローチで開発された商品だったが、非常に優れたお手本的なマーケットイン商品だ。その理由を説明しよう。

単純でありながら解決されなかった問題
Virtusizeが解決した問題は、誰もがアパレルECサイトを利用する上で不便に思っていたが、長らく解決されていなかったペインだった。もちろん実店舗で試着するのに比べればパーフェクトな解決策ではない。それでも服のサイズのクレームが50%減ったのは革命的な変化だ。

消費者とEC事業者のニーズを同時に解決した
ネットショップで服を買う上でサイズの問題に悩まされていたのは消費者だけではない。ネット事業者もサイズ問題の被害者であった。
一度販売した商品が返品されてくればピッキング、梱包、配送の手間が2倍かかるわけだし、他のECサイトとの競争もあって配送費の負担を消費者に負担させられない場合もあるだろう。また、商品が返品されて代金を購入者へ返金しても、返品商品は新品価格で売れないことがほとんどだろう。

利益率が高くスケールしやすいサービス
Virtusizeがビジネスモデルとして優れているのは、利益率が高い上にスケールしやすいことにある。VirtusizeのPLを見たわけではないが、このサービスは変動費となるコストは極めて少ないものと思われる。それに対して価格設定は利用回数に応じてラダー型であるから、利用するEC事業者が大きければ大きいほど利益率が高まることだろう。

スケールのしやすさも魅力的だ。
Virtusizeの場合、スケールの軸となるのは国境だ。ECサイトは各国で有力なプレーヤーが異なる。だからこそ国外にスケールするチャンスが多いのだ。
スケールのしやすさの理由は外部環境だけによるものではない。Virtusize自体がスケールしやすいシステムになっているのだ。どの国で利用するとしても、インターフェースの簡単な言語表記の変更するだけでカスタマイズ終了だ。


なるほどと唸りたくなるような、今までのペインをあっさり解決してくれるようなサービスは確実にそして簡単にマーケットから受け入れられる。サービス開始から約2年で25サイトで利用されているというのが早いのか遅いのかは判断が難しいところだ。だが、今後もVirtusizeを利用するECサイトは増え続けることだろうし、このベンチャー企業は成功する可能性が高い。
新規ビジネスの立ち上げには商品ありきでマーケットを開発するプロダクトアウトという方法もある。だが、圧倒的に競合優位性を持つ資源を所有していない限り、マーケットインの方が成功率の高いアプローチだ。

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