2013/10/31

Yahooパスマーケットを開始したYahooの目論み 1


Yahooパスマーケットというサービスが今年2013年の4月にローンチされた。
ここ数年で続々サービスが増えてきたイベントオーガナイズサービスだ。イベントオーナーはこのWebサービスを利用してイベント告知ページを作成し、有料・無料のチケットを販売、流通させ、参加者を管理することができる。イベントに参加する側のユーザーは、そのサービスのアカウントを作成するか、FacebookやTwitterアカウントと連携させることでチケットの申し込みが可能になるという仕組みだ。

イベントオーガナイズサービス事業者は、イベント主催者の登録時に課金したり、有料チケットの販売に10〜25%程度の販売マージンを課すという収益モデルを持っている。比較的簡素でサーバ負荷も低いサービスなので少人数、低コストで運用できるWebサービスだ。

汎用性が高くスケールしやすいサービスではあるが、アーティストのコンサートや常設展のある美術館のように、安定した収益が見込めるが既存プレイヤーや自社販売が根強いマーケットを取り込まなければ売上はあまり大きくならないだろう。だからこそ、イベントオーガナイズサービスに参入するのはスタートアップが多い。


このイベントオーガナイズサービスにネット界の巨人であるYahooが乗り込んだ。その理由はなんだろうか?

単純な売上目的

売上を嵩上げする目的はあるだろう。
先に述べたとおり、既存のチケット販売プレイヤーからクライアントを奪わなければ売上を増やすのが難しいサービスではある。しかし、Yahooはネット業界の中でも一番の老舗でブランドがあるうえ、Yahooのポータルサイトという優秀でクライアントにとって魅力的な集客装置があるので、既存プレイヤーからドル箱クライアントを奪うことができるかもしれない。

イベントオーナーにとって、Yahooポータルという集客力のある窓口で販売できることは大きな魅力だろう。

新規ユーザーの獲得

Yahooのユーザーは多い。
たまにポータルサイトを訪問するだけの人も含めれば、ネットユーザーの大半がYahooユーザーといえるだろう。しかし、Yahooアカウント所持者となれば割合が減り、プレミアム(クレジットカードを登録している)ユーザーともなればぐっと減るだろう。

Yahooはパスマーケットに参入することで、このプレミアムユーザーを増やすことができるかもしれない。
ユーザーがプレミアムアカウントに登録する動機としては、言うまでもなくYahooの有料サービスを利用したい、Yahoo経由で何かを購入したいという動機がある場合だ。イベントオーナーは管理の都合上、一つのイベントオーガナイズサービスしか利用しない可能性が高く、どうしてもそのイベントに行きたいユーザーは喜んでYahooプレミアムアカウントに登録することになるだろう。


取り扱うイベントが増えれば増えるほど、新しいプレミアムユーザーを吸引する力も強くなり、大きな相乗効果を生み出す。
この効果を狙ってか、Yahooは非常に単価の安い課金モデルで参入している。先行サービスは大体10-20%程度の有料イベントマージンを課しているがYahooパスマーケットは登録料無料、有料イベントマージンは5%という低価格を設定している。

この低価格戦略は、明らかにイベントオーナーを惹きつけ、イベントオーナーの先にいる未来のYahooプレミアムユーザーを獲得しようとしている。WebサービスのコングロマリットであるYahooだからこそ、パスマーケット単体の収益性に拘る必要がなく集客に集中することができる。大手がこの戦略に出ると、スタートアップは辛い立場に立たされる。

最近のYahooは、YahooオークションやYahooショッピングの出店・出品手数料無料化といいパスマーケットといい、プレミアムユーザーの獲得に相当力を入れていることが分かる。




2013/10/30

EC事業者のO2O戦略

一般論として、心理的にネット販売で高単価商品のものは購入しにくい。Amazon.comなど何度も利用して信頼にたる業者だと思っていたとしても、なんとなく対面販売より高額商品には手を出しにくい。どうしても人は高単価商品を買うときに、たとえ意味がなかったとしても自分の目で見て触って確かめてから購入したいと思うものだ。
これはいままでEC事業者が頭を悩ませている人間心理であった。

だが、これまで信じられてきた「消費者は高単価商品をネット購入しない」という常識をくつがえすような事実が出てきている。

O2Oが示す高単価商品ECの道筋

日経MJ(2013/10/25 P.3)によると、ブリリアンス+というECジュエリーショップがO2Oによる高単価商品のEC販売に成功している。
一般的に、ECショップでジュエリーを購入しようと思う人は少数派だろう。誰もが騙されるんじゃないか、という猜疑心に駆られてネットでジュエリーは購入したくないと考える。例え実店鋪で偽物を売っていたとしても、ほとんどの人がそれに気付くことができないはずなのに、人間の心理とは不思議なものだ。ともあれ、このECショップでは最高187万円の商品を販売したという。

ブリリアンス+ではショールーミングのための実店鋪を展開している。顧客はその店舗に訪れても商品を売られることがなく、「買わされる」という警戒心なしに思う存分商品を見て選ぶ事ができる。そして、商品に満足すれば顧客に自ら購入してもらうのだが、ショールーミングのための店舗を訪れた後に購入する人は、普通にECショップに訪れて購入する人より3万円単価が高いのだそうだ。ECショップの客単価が22万円だというから、O2Oで購入した顧客はおよそ14%単価が上がっていることになる。

ショールーミング店舗という新しいカタチ

EC事業者にとって、ショールーミングのための実店鋪というのは新しい強力な選択肢になるかもしれない。
趣味製品やジュエリーやブランド品のような高単価商品は、やはり一度見て触ってから購入したいという顧客は多いだろう。例えそれが中古品でなくて新品であってもだ。ショールームをEC事業者が展開することによって、本当は安いネットで高単価商品を買いたかったけれど、一度見て触ってみないことには決済ボタンがどうしてもクリックできないという人を取り込める可能性は高い。

ショールーミング店舗のメリットは、購入したかったけどできなかったという人を集めるだけに留まらないだろう。
このショールーミング店舗では、在庫を持つ必要がなく、展示品だけがあれば良い。だから在庫整理や発注作業、そしてそもそも店舗の存在理由である販売作業が全く存在しないことになる。在庫用のバックヤードを必要としないので、狭い敷地で十分な店舗スペースを確保できるから地代が安くなるし、先にあげたような作業がないから人件費も安く済む。

設備についても、商品の展示品とカタログや販促品の他、その場で購入したいという人のためにPCやiPadを1台だけ用意すればそれだけで事足りてしまう。

また、趣味性の高い商品ほど店員の専門知識や接客レベルが求められるが、ショールーミング型店舗であれば社員を1人か2人配置するだけで、アルバイトやパートを採用する必要もないだろう。だから商品知識と接客の質をキープして、玄人な顧客も満足させることができるはずだ。


EC事業者によるショールーミング型店舗には、集客だけでなく単価を上げるという効果も実証された。EC事業者にとっては新たな戦略のケーススタディを得たと言えるだろう。採算ラインが見極められれば、今後EC事業者によるショールーミング店舗の展開が広まってくるかもしれない。

ただし、ショールーミング店舗には一つ重大な欠陥がある。それは、買ったその場で持ち帰りたいという顧客の意向を満たすことができないということだ。だが、新たな利を得るために必要な切り捨てと言えるのかもしれない。

2013/10/29

艦隊これくしょんは新たな収益化モデルの挑戦 2

艦これ

前回に引き続き、艦これのゲームの優位性と革新的な収益化モデルについて解説していこう。

関連エントリー:
2013/10/28 艦隊これくしょんは新たな収益化モデルの挑戦 1

■マニアックかつ高いゲーム性

艦これが100万人とうユーザーを獲得できた理由は、カードゲームのフォーマットを使ってハードルを下げたことだけに留まらない。

カードのキャラクターは実際の戦艦を元にした萌えキャラのイラストで「艦娘」というそうだ。艦娘の名称は実在する戦艦をモデルにしており、各カードのパラメーターも実際の戦艦をモデルにしているということで、戦艦マニア・軍事マニアの人達も惹きつける仕様になっている。

萌えキャラという要素だけで集客できる属性のカスタマーはソーシャルゲームのプレイヤーとオーバーラプが大きく、新しいプレイヤーの獲得には貢献しないだろう。だが、ここに戦艦という要素を加えることによって新しい属性の人達をソーシャルゲームに呼び込むきっかけになる。多くのファンを獲得した理由の一つに、このプラスアルファの要素があっただろう。


ソーシャルカードゲームというと、私も1つか2つ試してみたことはあるのだが、とてつもなくシンプルなゲームなのだ。戦闘の要素はカードの強さとあとは乱数だけで、クエストモードなどと呼ばれるものもあるが、とても面白いと感じるシロモノではない。

艦これは、モチーフが戦艦ということもあり、戦争シミュレーションゲームの要素を含んだゲームになっている。単純な例で行くと、戦闘をしていると艦娘は破損し、場合によっては撃沈されることもある。破損すると修復アイテムを使って修復しなければならず、撃沈された場合は無慈悲にもそのカードは永久に失われる。そしてゲームの戦略性も、戦争シミュレーションゲームを楽しむ硬派なゲーマーにも受け入れられる内容となっているそうだ。

■一つの資産(知財)を使いまわす

さて、最後に艦これの収益化について触れてみよう。

他のソーシャルゲームとの相違点でも書いたように、艦これはゲーム内課金という要素は残しつつもそれをメインの収益源とはしていない。あくまでも消耗アイテムだけの販売としている。

代わりにこのゲームのディベロッパーである角川ゲームスが描いている構想が、マルチメディア戦略である。角川ゲームスは艦隊これくしょんのソーシャルゲームで獲得したファンに対し、グッズや書籍等の販売、そして知財のライセンスという方法で収益化を図っている。

既に艦これは様々なグッズが販売されている。ちょっとAmazonで検索してみるだけで漫画やファンブック、フィギュアやTシャツ、ポスターなど多岐に渡るグッズが出てくる。しかも艦娘のキャラクターは100種類を超えているため、グッズの種類も豊富になりファンの収集欲を刺激することだろう。さらに2014年の夏にはアニメーション化も予定されているそうだ。

ゆくゆくは、版元の角川ゲームスが様々な消費財メーカーにライセンスし、商品パッケージに登場させるなどのビジネス展開も開始するものと予測される。


この一つの知財を使いまわして複数のメディアから巨利を得るというモデル、実はウォルト・ディズニーが採用したクラシックな戦略である。
皆さんも御存知の通り、世界で最も有名なキャラクターとも言うべきミッキーマウスをウォルト・ディズニーは生み出した。ディズニーはただ映画をヒットさせてミッキーマウスという資産を生み出しただけでなく、ディズニーランドのようなアミューズメントパーク事業やグッズ販売事業、そしてライセンシング事業を展開した。

メディアミックス戦略の面白いところは、ミッキーマウスという資産を使いまわしても、他の資産と違って消耗することも目減りすることもなく、むしろ相乗効果でブランド価値が高まることにある。それだけ厳しいミッキーマウスのブランド保護(御存知の通り、ミッキーマウスの版権違反には訴訟という厳しい態度を取る)を実行する必要もある。


一つの知財を使いまわす戦略はウォルト・ディズニーによって恐らく初めて実行されい、それをスライウォツキーが体系化した。詳細はスライウォツキーの「利益増殖モデル」に関するエントリーを参照いただきたい。

参考エントリー:
利益モデル7. 利益増殖モデル その1
利益モデル7. 利益増殖モデル その2

艦これのメディアミックス戦略はある程度認知が広まってきたこれからに掛かっているだろう。9月現在では角川ゲームスは利益を上げられていないようだが、利益増殖モデルが上手く回り始めれば、これから大きなリターンを返してくれることだろう。
これからの艦これの発展を引き続きモニターしていきたい。

2013/10/28

艦隊これくしょんは新たな収益化モデルの挑戦 1

艦これ

「艦隊これくしょん」というソーシャルゲームが、ユーザー100万人を突破する大ブームになっている。サービスを開始したのが2013年の4月なので、わずか半年で100万ユーザーを獲得したという大ヒットゲームだ。

このゲームはいわゆるPCブラウザ上でプレイするブラウザゲームで、ソーシャルゲームというジャンルの範疇に入る。ソーシャルゲームといえばGREEやDeNAのソーシャルゲームに代表されるゲーム内アイテム課金という方法が取られている事が多く、その射幸性の高さや未成年者が大金をはたき、さらにもっと課金するために親のクレジットカードを勝手に使ったりと何かとニュースを賑わせている。

しかし、この「艦これ」こと艦隊コレクションは、これまでのアイテム課金とは異なる収益化戦略を狙った角川ゲームスとDMM.comの革新的な一作だ。その収益化戦略とは、ウォルト・ディズニーが取ったものと同じ戦略なのだが、このゲームを分析しながらその戦略を明らかにしてみたい。ちなみに、筆者はこのゲームをプレイしていないためゲームに関しては間違った情報があるかもしれないので悪しからず。

■他のソーシャルゲームとの類似点、相違点

艦これの収益化戦略については後ほど解説するとして、まず艦これと他のソーシャルゲームの類似点、相違点を見てみよう。

艦これは収益化方法こそ画期的でありながら、ゲームのフォーマットは他のソーシャルゲームと大きく変わらない。多くのソーシャルゲームはカードゲーム形式を採用しており、非常にざっくりした説明になるがカードを強化してキャラクターを強化していくというフォーマットなのだ。そして、艦これもこのフォーマットを踏襲している。

革新的なゲームでありながら、他のゲームと同じフォーマットを踏襲することには一つの意味がある。それは、別のゲームのユーザーを艦これに誘導しやすくなるということだ。ソーシャルゲームは頻繁に新しいタイトルが出ているようだが、恐らくゲームのプレイヤーの母集団はほとんど変わらず、同じプレイヤー達がぐるぐるといろんなゲームをプレイしているのだろう。他のタイトルと同じフォーマットを採用することで、ゲームを始める、継続するという関門のハードルを下げることができるはずだ。
角川ゲームスがこの効果を狙ったかは分からないが、ゲーム自体が慣れ親しんだものであることによって他のゲームからプレイヤーを集めることに成功した結果の100万ユーザーであろう。


次に、他のゲームと艦これの違いを考えてみよう。まずは先に指摘した課金方法の違いにある。
一般的なソーシャルゲームでは課金しなければ絶対に手に入らない強力なアイテムを用意し、単価が数百円のガチャ方式を採用している。ガチャ方式とは、言わば獲得できるアイテムをルーレット方式で決めるもので、数百円の単価を払うとそのルーレットを1回まわす権利を受け取ることができる。だから欲しいアイテムがすぐに手に入るわけではなく、際限なくガチャを回し続けることにもなりかねない。欲しいアイテムは運が良ければすぐに手に入ることもあるだろうが、数千円〜数万円かかることだってあり得る。そして湯水のごとく課金する人が出てくるのだ。

アイテム課金にお金を投じるのはもちろん自己責任ではあるのだが、この課金の仕組みが射幸性を煽るとして批判を浴びている。だが艦これではこのガチャ方式のアイテム課金を採用していない。ゲーム内課金は残してあるのだが、課金せずとも手に入る消費アイテムだけを対象にしている。プレイヤーからすればフェアだと感じるだろうが、実際のところこの課金モデルではとても収益を上げられないだろう。

そこでウォルト・ディズニーが成功させたメディアミックス戦略による収益化が出てくるのだが、それは次回のエントリーで解説しよう。

2013/10/27

メガソーラーの雑草を草食動物で駆除 これがクリエイティビティだ

今一番ホットな環境・電力業界。福島第一原発の事故以来、代替エネルギーへの注目が日に日に高まっている。

日本各地で大型のソーラー発電施設が作られているが、実は雑草対策が運営者達の悩みのタネになっている。雑草は放っておけばぐんぐん成長してソーラーパネルに影を作り電力変換効率を下げる。特に夏場などは1-2週間に一度くらいのペースで雑草刈りをしないことには電力変換量が下がることだろう。


ソーラー発電といえば、ハイテク技術を活用したエコ施策に思えるが、この雑草狩りという頭痛の種を非常にローテクな方法で賢く対策しているメガソーラー施設がある。

一つは繊維大手企業のニッケが兵庫県稲美町のゴルフ場跡に設置した、22万平方メートルに5.5万枚のソーラーパネルを配したメガソーラー発電所だ。この発電所では六甲山牧場から無償で譲り受けた羊3頭が放し飼いにされ、雑草駆除をしている。もし放し飼いにされている区域を人を使って雑草駆除した場合、年間200-300万円の費用になるという。
現場の点検や糞の掃除なので全くコストをゼロにすることは出来ないだろうが、それでも劇的なコスト削減だと言えるだろう。

もう一か所は大分石油が設置する大分県宇佐市にあるメガソーラー発電所だ。ここでは羊ではなくダチョウによく似た大型歩行鳥類のエミューが放し飼いにされている。雑草刈りだけではなく、最終的にそこで繁殖したエミューを食肉として販売するという一石二鳥(まさに言葉通り)を目論んでいるのだとか。実際、エミューの肉は赤肉で美味であるとされ、原産国のオーストラリアではアボリジニの人達に愛されている食材だという。


こうした草食動物をうまく利用した対策には、動物がパネルを破壊したり配線に噛み付くというリスクがある。だが、草食動物を試験導入してみても、特に被害は出なかったため許可が出たようだ。大分のメガソーラーでエミューを選んだのも、ダチョウでは気性が荒いからという配慮があったとのこと。

草食動物と人間が上手く手を取り合って、ソーラー発電というエコな活動へ向かうのはとても好感が持てることだ。恐らくどんな分野においても、こうしたクリエイティブでローテクな解決法は沢山あるのだろうが、どうしても目的のための技術開発が、技術開発のための技術開発になりがちである。こうした本当の意味でのクリエイティビティを失わずにいたいものだと感じたニュースであった。


2013/10/26

孤高の志士 高杉晋作の一生

高杉晋作

吉田松陰と高杉晋作を主人公とした司馬遼太郎の「世に棲む日日」を読んだ。
歴史に興味が無い人でも、高杉晋作という名前は聞いたことがあるだろう。
高杉晋作はアメリカに開国を迫られ、主体性を持たずにずるずると異国の言いなりになっている幕府を倒幕しようとした幕末の志士の一人である。高杉晋作は日本の歴史の中でも類を見ない革命児だ。


幕末の志士と言えば、一番有名なのは最近大河ドラマになった坂本龍馬だろう。坂本龍馬は他の志士がほとんど持つことが出来なかった、開国して国力を高め日本を独立させるという戦略を抱くに至った大戦略家だ。
高杉晋作も一度は異国の海軍を追い払ったものの、開国して国力を高めて幕府を倒そうと考えるに至った志士の一人だ。だが、彼の場合は坂本龍馬と違い自分が生まれ育った長州という国に強い愛着や誇りを持っており、長州という国を日本からそして世界から独立させようと試みたのだ。ある意味途方も無い大志ではないだろうか。

そして長州という国に強いプライドを持っていたので、決して他国人(他藩の人)と交わろうとせず、長州から日本を変えようとしていた。この点、坂本龍馬と比較すると視野が狭かったと言わざるを得ないかも知れないが、それでも坂本龍馬や勝海舟と同じレベルの戦略性を持っていた人物だ。


高杉晋作は根っからの革命児であり、攘夷・統幕を成し遂げるには武力しか無いと考えていた。しかし、高杉は時機を見るのに繊細で必ず時運が自分に向いているか、流れを変えられるときにだけ挙兵したという根っからの戦略家だ。
そしてその方法論は常に奇策・奇襲で、同士の伊藤博文をもって「動けば雷電の如く発すれば風の如し」と言わしめた。

高杉晋作は常人の理解を超えたと孤独の革命児にも思えるが、それでも一人の力のみでこれを成し遂げた訳ではない。白石正一郎という支援者のおかげで騎兵隊を構成し、成し遂げた偉業が幕府勢15万人の長州遠征への勝利だ。決して一人だけの力で成し遂げたものではなかった。伊藤博文の助けもあった。

こういう歴史書や歴史を原作とした読み物は、現代ビジネスマンにも学ぶことが多い。秋の夜長にこんな本を読んで勉強してみてはいかがだろうか。


2013/10/25

ネイルサロンの早い・安い・うまいを実現するアート

ネイルサロン

早い・安い・うまいを実現したネイルジェルのネイルサロンが好評を博していることを前回のエントリーでは書いた。
言葉にしてしまうと至極簡単なことに聞こえてしまうが、ただただ値段を安く設定すればいいというものではない。利益が得られなければビジネスは続けられない。安い・早い・うまいというビジネスを立ち行かせるためには、安くても利益の出る仕組みや早くても必要十分な品質が担保される仕組みが不可欠だ。

この仕組を実感しやすいのはファストフードの飲食店だろう。私はファストフード飲食店に行ってその見事なマニュアル化された店員の動きを見るのが好きなのだが、海外のファストフード店ではまずお目にかかれないほど整然としている。一人ひとりの役割が明確で、作業のスピードも早く狂いがない。そして店舗もその効率を最大化するように作られている。吉野家とすき家と松屋は同じファストフードの牛丼店だがそれぞれ微妙に異なるオペレーションで、店舗の内装や配置がそれに最適化して設計されている。

前置きが長くなったが、どの業界の安い・早い・うまいの手軽軸の店舗も、必ずその業態でスピードと品質を生み出し、利益を確保する仕組みが存在する。前回エントリーで取り上げたファイストネイルがどのように手軽軸の価値を生み出し続けているのか見てみよう。

デザインカルテの発行

日経MJ(2013/10/23 P.9)によると、ファストネイルに来店したお客はまず店内の備え付けパソコンの前に通され、画面上で希望するデザインを選択する。そうするとそのデザインのネイルのために必要な材料と見本写真をプリントアウトし、カルテを作成する。お客さんと相談しながらデザインを細かく決めていくというスタンスではなく、あらかじめテンプレート化されているデザインの選択肢の中かお客が選択するう仕組みだ。

サイトを見ると、最安値の2990円から値段が上がるにつれデザインの複雑さと必要な施術時間が増している。平準化によって、どのデザインを選んでもらっても必ず利益がでるように調整されているというわけだ。

そして、それぞれのネイリストが今どのネイル作業をしているかが分かれば、満席になったとしても待ち時間を正確に読み込むことがで、顧客サービスのレベルも上がるというメリットがある。

標準化されたツールスタンド

もう一つの秘密は、これもやはり標準化されたツールスタンドだ。
どの施術台でも決まった配置で決まったツールが並んでいる。だからネイリストはどの施術台にあたったとしても迷うことなくいつも作業ができるので、効率が上がるというわけだ。

別のネイルサロンの話にはなるが、3ネイルズというこれまだやはり手軽軸の安い・早い・うまいのネイルサロンでは、ネイルジェルの硬化を早めるために一般的に使われている紫外線照射ではなくLEDを使用している。また、時間のないお客のために混雑状況をツイートすることで、来店したのにすぐに施術が受けられないという顧客の不満を防いでいる。


高級ブランドや高品質な商品というのは、そのブランドや品質をつくり上げるまでに長い時間を要する。そしてそこまでに要した時間に価値が乗っていると言っても良い。だが、早い・安い・うまいのサービスも実はこうした徹底的な効率化や標準化というビジネスのアートを経て実現されているのだ。

2013/10/23

「早い・安い・うまい」がブルーオーシャンだったネイル業界

ジェルネイル

早い・安い・うまいというのは商売における基本的な顧客提供価値の一つだ。
特にデフレ経済下にあっては、早い・安い・うまいの手軽軸の業態が繁栄する。不況のまっただ中にあったとき、すき家や松屋、あるいはディスカウントストアのような代表的デフレ企業の調子が良かったのは記憶に新しいだろう。

業界の全てのプレイヤーがすき家や松屋のように手軽軸ということはなく、高級フランス料理のような高級路線の業態(商品軸)もあれば、顧客の趣味に合わせて定食メニューを入れ替えてくれる顧客個別の嗜好優先(密着軸)の業態もある。ある程度歴史のある業界であれば、自然とプレイヤーは手軽軸、商品軸、密着軸に分散するものだ。
だが、意外と特定の軸がブルーオーシャンになっている業界もある。それがネイル業界だ。


日経MJの記事によると、ジェルネイルという商品カテゴリには有力な手軽軸のプレイヤーが存在しておらず、安い・早い・便利を武器にした業態が好調であることを示している。

日経MJ 2013/10/23 P.9――――――――――
通常のマニキュアより長持ちするジェルネイル。ネイルサロンでは人気のメニューだが、施術は一時間程度と時間がかかる。1回あたりの費用も6千〜7千円程度と高額で、普及の課題となっていた。そのジェルネイルに「早い・安い・うまい」を取り込んだサロンが登場。育児や仕事で忙しい女性に時短サービスを提供し、店舗を拡大している。
(中略)
平均30〜40分程度で施術が終わる。価格も3139円からと従来の半額程度だ。
(中略)
ファストネイル開発のきっかけは「料金、時間、仕上がりを明快にしよう」(ファストネイル運営会社コンヴァノ島谷尚子マーケティング本部長)という考え。2010年に1号店を回転以降、忙しい女性の需要をとらえ、9月の既存店客数は前年同月比33%増だ。
――――――――――――――――――――

景気が上向いてきたとは言え、4年目の業態で対前年比で33%の顧客増はなかなかの数字ではないだろうか。
ジェルネイルの価格帯を調べると、レッドオーシャンにあり価格下落傾向にあるのだろう、6000円台から安いところでは5000円程度のところもある。だがさすがに3000円台前半というのは見かけない。全く違う価値軸のフィールドで勝負していると言ってもいいだろう。

実際に顧客層も異なる。ジェルネイルのメインターゲットは女子大生やフリーターだろう。しかし、記事になっているファストネイルでは主婦やOLの顧客が多い。
一般論として主婦やOL、特に独身を謳歌しているOLは女子大生やフリーターよりも可処分所得が多いはずだが、なぜ安価で8000円するサービスよりも質に劣るだろうファストネイルを選択するのだろうか。恐らく家計を守る主婦であれば不要不急の出費は極力抑えるという考えが働くだろうし、忙しいOLや子育て中の主婦には価格の安さよりも施術時間が短い点が受けたのだろう。

早い・安い・うまいの手軽軸のサービスは必ずしも「安い」だけに反応する顧客だけではなく、時短に価値を見出す顧客も惹きつけるのだ。


ある商品やサービスが普及期に入るとき、早い・安い・うまいのサービスによって一気にマーケットが広がる事が多い。例えばパソコンは昔は限られた用途で一部の企業だけが使用するものであったが、今では当たり前のように誰もが所有するコモディティになっている。これはパソコンが一般家庭に流通できる価格帯に落ち着いたからだ。
だから普通のマーケットではまず安価な商品が蔓延するものだが、ジェルネイルに関しては逆に手軽軸の商品がブルーオーシャンになっていたというのは興味深い。意外とそういったマーケットは身近なところに転がっているのかもしれない。それを見つけることができたら大きな金脈を探り当てたに等しいことだ。

楽天の驚くべきスピード

楽天ロゴ

楽天と言えば?と聞かれて最初に頭に浮かぶのは楽天市場だろう。楽天市場は国内企業では規模ナンバーワンのECサイトであり、また、日本から世界へ羽ばたこうとする初のECサイトでもある。
では、楽天市場の次に楽天と聞いて思い浮かぶものは何か、と聞かれたら何を思い浮かべるだろう。恐らく一人ひとりが異なる回答を出すだろう。楽天カードと言う人もあれば、楽天トラベルが先に思い浮かぶ人もあるだろうし、楽天ブックスという人もいるかもしれない。楽天のすべてのサービスを知っている人など、楽天にもほとんどいないのではないだろうか。それだけ多種多様なサービスに凄まじいスピードで手を出している。


身近にこのスピードに触れたのは、ゴールドカードの取得だ。
元々楽天カードは使っていたのだが、海外出張の機会が増えて空港ラウンジを無料で使用できるプライオリティパスに惹かれ、ゴールドカードに申し込んだ。楽天カードを長く使っていたし、借入等もなく属性も悪くはないので問題なく発行されるとは思っていた。それでも転職して会社が変わったこともあり、在籍確認の電話一本くらいあるだろうと思っていたのだが、特に音沙汰なく24時間も経たないうちにあっさり発行OKになったのだ。他のカード会社と比べると恐るべきスピードではないだろうか。

こうした早い・安いサービスはサポートが弱い、だとか品質が良くないと言われやすい。確かに楽天にもそういうところはある。
私が以前アジア圏を旅行したとき、旅行中に気付けばカードが不正利用されていて、旅行先というのもあって肝をつぶした。普段の消費パターンとはかなり異なる使い方をしていたのだが、楽天カードから事実確認の連絡などはなかった。このとき楽天カードの不正利用モニタリングは若干弱いのかもしれないと思ったものだ。
とは言え、楽天の名誉のために事実を書いておくと、不正利用されたのが日本国内のアパレル系ECサイトで金額は20万と高かったのだが、私自身そのカードをアパレル商品の購入に使用しているので違和感のある利用用途とは判断できないのも無理はないかもしれない。それに、不正利用であることを連絡したらしっかり対応してくれた。

そして、何故私がこの不正利用に気付くことが出来たかと言うと、ウェブ上で自分の決済履歴を確認することができるし、決済が発生するとメールで金額の通知が来るからだ。自分の使用履歴が確認できるツールと不正利用に対する保証があるのであれば、セルフヘルプができるユーザーからすればそれで十分だ。24時間のコンシェルジュなど不要で、いざというときの窓口が24時間開いてさえいれば良い。最低限必要なサービスレベルが満たされていれば、後はできるだけ安く、そして早い方が良い。そういうユーザーにとっては楽天は魅力的な選択肢であることが多いのだ。


楽天はECマーケットの場所貸しが主要ビジネスであるにもかかわらず、モバイルネットワークに手を出したり、証券会社や銀行を立ち上げたり、スマートフォンのクレジットカード決済に手を出したりと、恐るべきスピードで新しいビジネスを次々と作り出している。一つ一つのビジネスが必ずしも成功していないが、楽天ポイントというポイントを中心として大きな生態系を形作っている。
楽天という企業がこの先どのように成長していくのか、いち顧客としても、いちビジネスモデルマニアとしても興味が尽きない。

2013/10/22

三方良しのプリペイドカード

プリペイドカード

最近コンビニで存在感を増している商品といえば、何が思いつくだろうか。
私にはここ数年、プリペイドカードの取り扱いが急激に増えていると感じられる。皆さんもそう聞くとハッとするのではないだろうか。

コンビニをはじめとする小売店でプリペイドカードが売られ始めたのは、私の記憶だとiTunesカードがその走りだったと記憶している。それからソーシャルゲームのMobage、さらにはブログとアバターが有名なAmeba、そして最近流行りのLINEなどのSNSの課金手段としてプリペイドカードが使われ始めたのは記憶に新しい。さらに、以前からギフトカードとしてAmazonのプリペイドカードや、最近では楽天のカードなど、ECショップのプリペイドカードも増えてきている。

静かに盛り上がりつつあるこのプリペイドカード市場。実は、三方良しのビジネスモデルなのだ。


消費者のメリット

消費者のメリットはとてもシンプルで分かりやすい。ネットでクレジットカード決済をしなくても、近くのコンビニで手軽に購入することができることだ。

いくらECが普及してネットでカード決済する人が増えてきたと言っても、やはりまだネットでのカード決済に安心できない人達が相当数存在している。そんな人達にとってはコンビニやその他の小売店でプリペイドカードを購入できるのは大きなメリットだろう。
賛否両論はあるだろうが、学生やクレジットカードを持てないような経済状況にある人でも、ソーシャルゲームやSNSに課金する手段を提供してくれるのがプリペイドカードだ。

発行元のメリット

発行元のメリットは消費者の裏返しと言える。
これまでクレジットカード決済という決済方法がネックになってリーチできていなかった個人に到達できるようになる。消費者のメリットでもあげたが、学生やフリーターはソーシャルゲーム・SNS企業からすると、メインターゲットではあるのだがクレジットカード決済がネックになって課金が難しかった属性の顧客だ。しかし、販路をネットからリアル店舗に、クレジットカード決済から現金決済に広げることで、より多くの顧客に課金する機会を得ることができた。

自社サイトから直販、カード決済と比較すると、小売店にマージンを支払う分若干利益率は落ちるかもしれないが、それ以上に売上と利益を押し上げる効果が大きいだろう。

小売店のメリット

最後に小売店のメリットだが、この仕組みが面白い。
プリペイドカードは、代金を支払ってレジでアクティベーションしなければ使用できないため、いくら店頭からカードを万引きされても小売店は何のデメリットもないのだ。多少仕入原価は発生しているのかもしれないが、額面と比較すれば微々たるものだろう。

どんな小売店でも万引きの脅威に常にさらされているが、販売するまで価値を生み出さない商品というのは小売店にとって非常に都合がいい。
このようにプリペイドカードは小売店も含めて三方良しのビジネスモデルなので、コンビニの苛烈な陣取り競争の中でも勢力を広げ続けているのだ。



2013/10/21

名作を漫画化することは悪か?

「まんがで読破」という世界の名作文学を漫画化したシリーズをご存知だろうか?
ドストエフスキーの「罪と罰」やマルクスの「資本論」、カントの「純粋理性批判」、はたまた「古事記」と、誰でも知っているような文学・歴史において重要な書籍が漫画化されて出版されている。私も文章の難しさと長さで読破が困難とされる「罪と罰」を始め、何冊か読んでみた。

効率性や実効性を重視する私としては、漫画化することによって世界の名作がより多くの人に読まれることは手放しに素晴らしいことだと思うが、保守的な原作主義の人々には耐え難い原作蹂躙と映るかもしれない。だが、目的も、目的を達する手段としても名作の漫画化は良策だ。

漫画で読破シリーズの目的

Wikiによると、まんがで読破シリーズの目的は、「現代の一般人にはなかなか読まれていない名作文学を「漫画」という形で親しんでもらう」ということにある。実にシンプルで明確な目標ではないだろうか。

義務教育の国語の時間である程度世界の名作に触れる機会があるが、学校の授業でどれだけまじめに文学を読んだ人がいるだろうか。自分を基準に断言するのはよろしくないことだが、今は読書好きな私であっても、学校でどんな文学作品を読んだがほとんど覚えていないし、それを楽しんだ覚えもない。今思えばもったいないことなのだが、このシリーズは今一度世界の名作に触れる機会を提供してくれる。

漫画というフォーマットの強み

日本国内では、漫画というフォーマットは子供~学生に限らず、青年・中年程度まで幅広く親しまれているフォーマットだ。
文章よりも視覚情報が多いので臨場感があるし、スピード感をもって読めるので短時間で物語の大筋を理解することができる。その手軽さが受けて、文章だと小難しい文学でもより多くの人に読まれることになるだろう。


漫画というフォーマットはいつの時代も賛否両論を巻き起こしている。
文学家からすれば、世界の名作を漫画家するなど悪しきデフォルメ化だと憤るだろうし、また、漫画という視覚的な情報が与えられるよりも文章を読んで想像力を働かせるほうが脳にとって有益だという議論もあるだろう。

だが、はじめに述べたように目的を「世界の名作をより多くの人に親しんでもらう」ということに絞るのであれば、漫画というフォーマット以上に適したものはないだろう。
手段としては賛否両論あるかもしれない。だが、目的を達するには適切な手段であるし、その目的も社会全体のメリットになるはずだ。

2013/10/20

クラウドソーシングで成功するかもしれないDelivのモデル 2

クラウドソーシング

バーティカル型のクラウドソーシングで異色を放つDeliv。
前回のエントリーではクラウドソーシングの全体像について説明したので、今回はDelivのビジネスモデルについて解析してみたい。

前回エントリー:

ローカルデリバリーに特化したDeliv

Dlivはバーティカル型(領域特化型)のクラウドソーサーだと説明した。一体どんな領域に特化しているのかというと、狭い地域の地元店舗で購入した商品を、Delivに登録したドライバー達が届けるというサービスだ。
登録者はプロのドライバーだけでなく、空き時間を生かしたい学生や主婦も登録しているという。利用者が地元商店街で商品を購入してDelivを利用し60分以内の配送、または指定時間への配送を依頼できる。APIを公開しているので小売店が自社のシステムに統合してDelivへ配送を依頼することができる。

またバーティカル型の強みとして、配送に特化しているので、サイトを通じたドライバーのトレーニングやスクリーニング、保険などの待遇も手厚くなっている。総合型のクラウドソーサーだと、取り扱う案件が多岐にわたるためこうした手厚い対応は難しい。


バーティカル型が優勢か?

今のところ日本ではまだ総合型、バーティカル型という明確なラインは生まれてきていない。だがクラウドソーシング先進国の米国の流れを見ていると総合型、バーティカル型のプレイヤーに分化し、そしてバーティカル型のプレイヤーが強くなってくるのではないだろうか。

米国でも規模で言えば総合型のクラウドソーサーの方が大きいようだが、やはりクライアントのニーズに応える力はバーティカル型のほうが強い。なぜなら、対象とする領域を絞り込んでいるので、Delivのように労務提供者へトレーニングを実施したり、専用システムを作り上げてAPIをクライアントへ提供したり、損害保険を掛けるなど、ビジネスニーズに合致したサービスを提供できるからだ。
1トランザクションあたりの単価や収益性では、おそらくバーティカル型が統合型を超えるだろう。

ただし、バーティカル型はどうしてもニッチプレイヤーであるため、知名度や集客効果に劣るだろう。利用者と登録者を集客するグロースハッキングに相当力を入れてプラットフォームを成長させていく必要があるだろう。

2013/10/19

クラウドソーシングで成功するかもしれないDelivのモデル 1

クラウドソーシング

クラウドソーシングは人事(HR)という比較的保守的な業界の中で、先鋭的なビジネスモデルだ。
何が先鋭的かというと、企業が人手を必要とした際にこれまでのようにアルバイトを雇用したり派遣社員を受け入れたりするのではなく、そのタスクだけ切り出してアウトソースする仕組みだ。タスクを受けるのはクラウドソーシングに登録している個人事業主で、タスク単位で単価を決めて入札し、仕事を勝ち取るという仕組みだ。

クラウドソーシングの制約

先進的で斬新なビジネスモデルで新しいトレンドを生み出す予感がするのだが、その性質上制約がある。
一つはロケーションに縛られるということだ。荷物の仕分けのような物理的なタスクを発注する場合、現場に来てくれなければ仕事にならない。だから、世界中の人がクラウドソーシングに登録していたとしても、実質的に作業場付近に在住している人だけを対象に募集するしかない。

もう一つは、逆にロケーションに縛られずに発注できる仕事はデザイン、プログラミングやコーディング、簡単なファイル操作に限られることだ。世界中の人々が登録しているのだから、賃金の安い国の人へ仕事を発注すればコストダウンが実現できる。ただし、発注できる仕事はネットのやりとりで完結できるものに限られてしまう。それに、数名〜数十名という合ったこともない人達が一つのタスクのためにプロジェクト的にコラボレーションすることは現時点では困難なため、単純なタスク単位でしか発注できない

クラウドソーシングのマーケット

クラウドソーシングは米国から始まったビジネスモデルではあるが、既に日本でも複数の事業者が立ち上がり、マーケットが拡大しつつある。
日本ではランサーズやクラウドワークス、Yahooクラウドソーシングなどベンチャーのみならず大手ネット企業も参入し始めている。日本のクラウドソーシングマーケットではデザインやWebページのデザイン・作成、アフィリエイトブログのライティングなどのタスクが大半を占めているようだ。

一方、クラウドソーシングの生みの親である米国では、ローカル性の高い仕事、例えば家具の組立手伝いやスーパーでの買い物、家の掃除などを専門的に取り扱うTaskRabbit、そして全国各地に人がいることを逆に利用した全国チェーン店などのオンサイト調査に特化したGigwalkなど、提供価値を絞り込んだバーティカル型のビジネスモデルが生まれている。


Delivもこのバーティカル型のクラウドソーサーの一つで、狭い地域での配送アウトソーシングに特化しているプラットフォームだ。Delivについては次回のエントリーでその強みを解析してみよう。

中小企業を複数経営する社長が会社を大きくしないワケ


keep it small, simple

私は中堅〜大手の上場企業、上場企業子会社にしか務めたことがないのだが、それでも社会人経験が長くなると、気付けば中小企業の社長と面識ができたりする。こうした社長の方々からビジネスの話を伺っていると、まだまだ会社を大きくする余地はあるにもかかわらず、社長に会社を大きくしようという意欲がないことに気付く。

一般的に言って、20代や30代前半の自らベンチャー企業を名乗る社長ほど会社を大きくすることにこだわり、目指せ年商1000億だ、1兆だ、という野心的な目標がホームページに踊っている。長年こうした中小企業の規模拡大意欲が低い社長達と若いベンチャー企業社長達の違いについて考えていたのだが、まさに必要以上に拡大したくないという企業の社長に話を聞いて、腹に落ちた。

Keep It Small

中小企業の社長達は、シンプルなビジネスをシンプルな環境で営みたいと思っている。
年商5億円程度で20〜30人程度の会社だと、必然的に一つの事業や製品シリーズしか扱うことができない。だから組織をシンプルに保つことができ、経営企画部やコンプライアンス、その他のスタッフ部門を最小限に保つことができて間接費を押さえることができる。

さらに、良くも悪くも従業員のコストが安い。
中小企業であれば大企業に比べて待遇が悪いのは仕方がないことだと従業員側も納得する。給与自体が低いのは当たり前だし、福利厚生が充実していないのも当たり前だし、業績が悪くなれば首になるのも仕方がない。経営者からすると、下手に企業を大きくすると人件費を上げなければならないので、できるだけ中小企業のまま人件費を抑えておきたい。もちろん、一般的にいって獲得できる人材の質は低くなりがちという問題もあるが。

その社長の経験則によると、従業員が30人を超えたあたりから社員の意識が変わり始めるのだという。この会社はあれをしてくれない、これをしてくれない、という他責の考えが生まれ始めるのだ。
会社が小さいうちは皆それどころではなく、自分も頑張らなければ生き残っていけないという危機感がある。この逞しい中小企業の原動力となっている意識が薄れ始めるラインが30人程度なのだとか。だからこの社長によると、よほど大規模な会社にならない限りは30人弱くらいの規模がもっとも効率が良いのだという。


ここまでが表の理由。そして裏の理由が二つある。
一つは、30人程度の規模を超え始めると、社員の間に派閥が生まれたり、徒党を組んで職場環境の改善や待遇の改善を求めてくることが多くなるらしい。だから中小企業の社長はこうした煩わしい問題が発生しないように、自分がオーナーの別会社を作って規模を調整する。

もう一つは、経費を使う自由度の高さだ。大企業が接待費を全て利益から捻出しなければならないのに対し、中小企業は年間800万円までの接待費を損金算入できる。もし足らなければ会社を二つ持てば枠が2倍になるわけだ。
また、上場企業のようにうるさい株主や取締役もいないので、自分の一存で会社のお金を合法に使うことができる。もちろん法に触れない範囲で。

ベンチャー企業社長は、IPOして大金を手に入れたような企業の社長を除けば、質素な生活をしている若者が多い。彼らは会社を大きくすることに目的意識を見出しているので、余計な金を使わずできるだけ会社の成長に投資しようとする。一方、成長を目指さない中小企業の社長はあえて会社の成長に必要以上の投資をしようとせず、顧客や人脈の獲得のために投資する傾向がある。平たく言うと、中小企業の社長のほうが派手に遊んでいることが多い。

とは言え、これはあくまでも経営が上手く行っている一部の中小企業の社長のことであり、ほとんどの中小企業は事業を継続することにすら四苦八苦なのだが。

2013/10/18

有料セミナーによって集客に成功した浜松市の地元商店街


浜松市の地元商店街で面白い取り組みが行われている。
地方の地元商店街と言えば誰もいないシャッター街というのが相場だが、「まちゼミ」という取り組みのおかげでお客が戻っているという。
最近市民権を得てきた街コンにあやかったイベントだと思われるが、効果は上々のようだ。

日経MJ 2013/10/14 P.4――――――――――
市街地の小さな万年筆専門店「ブングボックス」で開かれたまちゼミ。 (中略) 店主の山岸かおるさんが熱心に解説する。ゼミではまず万年筆の構造を説明。様々な筆やインクを使って書き味を試した後、部品を組み立てて自分だけの万年筆を作る。 (中略) 材料費500円を支払い1時間半の講座を楽しんだ。
店の前は人通りが少なく、「初めての人が入りやすい雰囲気ではない。ゼミなら遠慮なく入店してもらえる」と山岸さん。ゼミの中身は客の反応を探りながら試行錯誤を続けてきた。その成果もあり、「ゼミ後に蔓延んひつを買いに来る人が増えてきた」と喜ぶ。
――――――――――――――――――――

万年筆のように、なかなか手を出しづらい商品に効果が高そうな集客方法だ。
何年も万年筆を使い続けているような万年筆ファンならば、特に気負うこともなく万年筆専門店にも入れるだろう。しかし、今まで万年筆を使ったことは無いけれどちょっと万年筆に興味があるな、という初心者には入店のハードルが高いのは想像がつく。何か売りつけられそう、とか買わないのに説明してくれたりすると申し訳ない、という心理が働くからだ。

そこへ「まちゼミ」という入店の「大義名分」があると入店しやすい。しかも安価だが有料だというのが良い。
無料だとやはり商品購入を勧めるためのイベントではないかと勘ぐってしまいやすいが、有料だと講座に対する対価を払っているという公平感が生まれるので安心するのだろう。

新しい見込み顧客を獲得するために無料セミナーを開催するのはBtoCでもBtoBでも良くある。だが、有料セミナーというオプションを考えても良いのではないだろうか。有料であることによって参加者の何か売りつけられるのではないかという猜疑心を緩和することができるから、ニュートラルに商品を評価してもらえる。

2013/10/17

お客様に合わせることが導く新規事業の失敗 2


前回に引き続き、顧客ニーズを追求することにより新規事業の立ち上げが暗礁に乗り上げてしまうという失敗について取り上げたい。
本エントリーでは、なぜこの失敗が修復困難な状態で露見するまで間違った方向に進んでいることに気づきにくいのか、そしてそれを防止するにはどうすれば良いのかを考えたい。

密かに潜行する失敗

この失敗の怖いところは、誰も間違った方向に生きつつあることに気付かず問題が進行することだ。
テストマーケティングを開始する段階では趣旨を理解していても、営業活動を開始し、なかなか購入してもらうまでに至らない場合、だんだん買ってもらうことが最大の目的になってしまう。そうなると、テストマーケティングの当初の目的は忘れ去られてしまい、売るために顧客ひとりひとりのリクエストに合わせた改修を加えてしまうのだ。

顧客一人一人に合わせたオーダーメイド商品を作る、またはカスタマイズするというオプションが戦略に組み込まれているのであれば、それは当初のビジネス計画通りなので問題ない。だが、最近よくあるSaaSサービスのように、固定化されたサービスを提供するビジネスモデルなのにクライアントに合わせて仕様をフラフラと変更させていたらいつまでたっても商品が定まらない。

何か製品を作るにしろ、ソフトウェア開発にしろ、プロダクトの仕様変更には大きな人的、資金的リソースの投入が必要になる。そして当初のテストマーケティングのスコープとは異なるプロダクトをリリースした後にこの問題に気付いても、元の仕様に戻すというのはまた別のコストが発生してしまうのだ。まさに行くも地獄、帰るも地獄だ。

失敗を防ぐには?

顧客ニーズへのフィットを追求しすぎることによる失敗を防ぐにはどうすれば良いだろうか?
とても単純な話だが、プロジェクトをリードする立場の人は、プロダクトに変更を加える際に逐一テストマーケティングの目的やビジネス戦略に立ち返ることだ。これから加えようとしている変更は、当初のテストマーケティングの仮説を証明するのに支障を出さないか、ビジネス戦略にそぐわない変更になっていないかを考えて判断する。

もう一つの方法は、プロダクトに変更を加える際にはなるべく多くのステークホルダーを含む会議体を開催し、複数の目で失敗を発見する。ただし、営業目線の強い人が参加している場合、顧客ニーズに合わせることに対して一も二もなく賛成して拍車をかけることになりかねないので、注意が必要だ。


関連エントリー:

お客様に合わせることが導く新規事業の失敗 1

新規事業開発を進めていると、どうしても日常沢山の失敗に出くわす。
ある事業を立ち上げようとする場合、事業が立ち上がった状態をゴールとしてその途中にいくつかのマイルストーンを置き、プロジェクトとして物事を進める。プロジェクトが失敗する理由は、ある課題を解決するためのリソースが不足している、またはある行動を取るために必要な予算がない、はたまた技術的に実現できないステップが含まれているなど、挙げていけばキリがない。

あまたある失敗パターンの中で、深刻ながら問題の発生が気付かれにくく密かに進行してしまうのが、顧客の要求に柔軟に応えることによる失敗だ。
一般的に顧客の要求に応えることは善とされ、特に営業的視点から言えば正しいことのように思える。だが、新規事業の立ち上げフェーズ、特にテストマーケティングフェーズにおいては顧客中心の考えがプロジェクトを誤った方向に導く可能性がある。

正しいテストマーケティングとは

よくデザインされたテストマーケティングの場合、あらかじめ顧客のニーズに対する仮説が立てられ、その仮説ニーズに対して新しいプロダクトがどのようにニーズを満たすかが想定されている。そして試験的にプロダクトを販売し、その結果をレビューすることによってその仮説が正しいかを検証するのだ。

検証の結果が正しければ、仮説が正しかったと判断し、さらに付加価値を強化するなり正式リリースするなりという次のステップへ進むことになる。一方、仮説の結果が誤っていたとしたら、仮説と実際のニーズのズレを検証・分析し、その結果を受けたまた新しい仮説を立てる。そして正解に辿り着くまで繰り返す。
これが一般的なテストマーケティングのあり方であり、実行する目的である。

顧客ニーズに合わせることが導く失敗

しかし、ここに顧客中心主義という視点が入ってくると話が少々ややこしくなる。
私のチームで発生した失敗の話になるが、顧客中心の考えが過ぎるとテストマーケティング段階で導入してくれそうな顧客のニーズに合わせ、すぐにプロダクトへ変更を加えようとしてしまう事があるのだ。マイナーチェンジ程度ならいいが、プロダクトの本来的な価値が変わってしまうような改修を悪びれず実行してしまうのだ。

例えば、本来社員のコンプライアンス意識を高めるために作ったWeb学習システムを、たまたま顧客が新しい店舗の従業員教育に使いたいというアイディアが思いついたのを聞き、コンプライアンスWeb学習システムを新店舗従業員Web教育システムに作り変えてしまうようなものだ。確かにその顧客には売れてお互いハッピーかもしれない。だが、製品の提供価値が変わってしまったら、事前に立てていた仮説が正しいかを確認することができず、テストマーケティングから得られることが何もない。その結果、ビジネス化すべきかどうかの判断ができなくなってしまう。
さらにはそのプロダクトが大きな事業の一つのパーツとなることが期待されていた場合、プロダクトの提供価値が変わってしまったら全体のビジネスモデルが狂ってしまうだろう。


次回エントリーへ続く

関連エントリー:

2013/10/15

iPhone 5Cはマーケットを見失ったAppleを象徴しているのか


Apple

iPhoneと言えば、3GSか4あたりまではスマートフォンマーケットのナンバーワン機種であった。iPhoneを選んだ顧客の数だけでなく、機能性や安定性、そして何よりデザイン性という意味で。
だが、最近のAppleの商品戦略を見ていると手痛い失敗をおかしているように見える。


Vator Newsによると、10月10日頃、一日30万台生産されていたiPhone 5Cが突如15万台まで生産台数を落とされたという。まだ発売開始されたばかりにも関わらず約半分に生産量を落とすというのは驚きだ。よほど5Cの売れ行きが悪いのではないかと噂されるのは無理もない。
しばらく先までの在庫が十分に整ったということで計画通りなのかもしれないが、このニュースによると5Cの販売台数は初めの一週間で5Sのわずか1/3でしかないという。すると、やはり5Cがあまりにも売れないので生産台数を落としたという説が色濃くなる。


5Cがこれほど振るわない理由は、明確なターゲット設定を欠いているかターゲットに対する正しい分析ができていないことにあるだろう。
もともとiPhoneが販売開始された当初、そこにはスマートフォン市場という確固たる市場はなかった。マーケットが新しく生まれるアーリーステージでは、ハイエンド商品やローエンド商品という区分はほとんどの場合存在しない。なぜならそれを求める人はそれが欲しくて仕方がない人たちだからだ。しかし、スマートフォン市場がそうであるように、マーケットが成熟してどうしてもスマートフォンが欲しいというアーリーアダプターからみんなが持っているから欲しいというマジョリティに浸透すると、ハイエンド商品・ローエンド商品という異なる商品を求める客層に分かれてくるものだ。

Androidスマートフォンは多数のメーカーが商品をリリースしているため、自然とハイエンド志向、ローエンド志向の両方のニーズを捉えることができた。一方、Appleは長らく商品ラインをiPhoneという単一製品に集中していたため、このニーズに答えることができなかった。Appleの単一商品戦略はアーリーステージのマーケットでは効果が抜群だったが、マーケットの進化に遅れてきている。


そこに投入されたのがローエンド志向と目されていたiPhone 5Cだ。だが、5Cはハイエンドである5Sよりもわずか$100安いだけで、Androidのローエンド商品と比べるとはるかに高価で、ハイエンドのスマートフォンに近い価格帯だ。本当にローエンドマーケットに踏み込むのであれば、2世代程度古いスペックで構わないので、5Cは5Sの半分程度の価格でリリースされていればローエンド志向の顧客にも受け入れられただろう。Appleの高級品というブランド価値を損ねたくなかったのだろうが、中途半端な違いでは顧客が許してくれなかった。


5CでiPhoneの製品ラインを2本に分けたのはAppleにとっては英断だったのかもしれない。だが、顧客が認識してくれない違いではラインを2本に分けるのはコスト増でしかない。
複数の製品ラインを持っている、あるいはこれから作ろうとしているビジネスパーソンにとっては良いケーススタディになるだろう。

ミニ軽井沢志向で奮う白馬村


白馬村ペンション

長野県北西部に位置する白馬村。
日本有数の美しさを誇る白馬岳(しらうまだけ)を有し、夏には登山やウォータースポーツ、冬にはスキーやスノボーを楽しめる観光地だ。1998年には冬季オリンピックの会場としても有名になった土地だ。

いわゆるその地の自然を活かした観光地として立脚している村である白馬村。日本中の田舎の村や町は過疎に苦しんでいる中、実はこの白馬村は村民が最近2005年まで増え続けていた稀有な村だった。

なぜ過疎まっしぐらの日本の村の中で白馬村の人口は増え続けたのかと言うと、ミニ軽井沢とも言うべき若い感性を活かした観光地づくりにあるのではないだろうか。

白馬村観光局ホームページのトップ動画を見ていただくと、テーマソング含め若者向け、あるいは若い感性を持ったクリエイターにディレクションされた動画であることがお分かりいただけるだろう。村の観光局のホームページと言えば、なんとも垢抜けない15年くらい前のデザインを多用しているところが多く、ユーザビリティが著しく不足しているようなホームページも多い。そんな中で、白馬村観光局のページはユーザビリティもデザイン性もなかなかだと言える。

実際に白馬の村を歩いてみると、軽井沢のようなヨーロッパ風の小奇麗なペンションが多いことに気づく。ペンションが集まる地域の周辺は瀟洒なデザインの居酒屋を始め、イタリアンレストランや銀座にあってもおかしくないようなカフェも集まっている。おみやげ屋やコンビニもヨーロッパ風の建物にネオンが照らされている。


白馬村の人口動向を見ると1970年代から一貫して2005年まで人口がかなりの勢いで伸びていることが分かる。
白馬村人口動向
出展: Wikipedia
これはバブル期のスキーブームに続き、冬季オリンピックの会場として知名度が上がったことも起因し、堅調に継続的に伸び続けたのだろう。
スキーを中心とした観光業の村や小さな町の場合、得てして古いホテルや代々その地で民宿を営んでいる老夫婦の旅館なんかが多いが、白馬村は軽井沢風の洒落た若い感性の村作りを行っている。その結果、若い人たちの県外からの定住者が増え、人口増につながってきているのではないだろうか。

恐らく2010年の人口の落ち込みはレジャー支出の消費縮小とスキー・スノボーブームの後退による結果だろう。白馬村の次の課題は、いかに軽井沢や湯沢温泉のような東京から近い名スキー場や観光地から限られたパイを奪うかだ。

2013/10/13

ラスベガスをビジネス的視点で見る



ラスベガス空港のスロットマシン

ラスベガスでは発見がたくさんあった。
一番大きな発見は、街づくりが徹底して遊びの街を志向していることだ。そして、ラスベガスの街にある全てはその志向を徹底して体現するような作られている。
そんな現象の発見をシェアしてみたい。

空港にスロットマシン

ラスベガスらしいと納得すると同時に驚いたのが、ラスベガスのマッカラン国際空港にはスロットマシンが置いてあるということだ。到着便ロビーにも出発ロビーにも、国内線ロビーにも国際線ロビーにも置いてある。なので、ラスベガスにやってくるといきなりスロットマシンがお出迎えしてくれるわけで、驚くと同時に一気に気分がウキウキしたラスベガス気分になる。

空港のスロットマシンはある意味ラスベガスという街のブランディングプロモーションの一つといえるだろう。ラスベガスには誰もがきらびやかな遊びの街というイメージを持っていると思うが、実際に行ってみると全く期待をはずさないくらい徹底した遊びの街として作られている。この期待を裏切らない街に対する期待値をマックスに盛り上げるのが空港のスロットマシンというわけだ。

万が一ラスベガスが中途半端な遊びの街だったら空港のスロットはちょっとやり過ぎに見えてしまうだろう。だが、ラスベガスは徹頭徹尾無駄ばかりの遊びの街なので、相乗効果を生み出し、観光客の高い期待とそれを満たす経験を与えてくれる。

超大型ホテルの集客と換金戦略

先日のエントリーでも書いたが、ラスベガスには世界12大ホテルの内11のホテルが存在している。そして、ラスベガス観光における消費はほとんどこのホテル内で発生している。
ラスベガス観光における消費の大部分はほぼカジノで発生する。ラスベガス主要ホテルの部屋は総じてとても広く、内装も豪華だ。それでも宿泊料金はシングルで$200もいかないようなホテルが多い。これは、ホテルが集客のために宿泊料金を下げて、カジノで収益を得ているためだ。

カジノで収益を上げるための戦略が徹底している。まず、巨大な敷地のホテルは外から入ってくるとフロントや客室に入るまで、またはフロントから外に出る前の間に必ずカジノを通るように設計されている。カジノで遊ばずには帰らせないぞと言わんばかりである。しかもカジノで遊んでいるとお酒を含むドリンクをタダで提供してくれるのだ。だからバーで飲むくらいだったらカジノをしながらフリードリンクをもらったほうがお得感があるのだ。

更には超大型ホテルにはショッピングモール顔負けのショッピングフロアがあり、カジノフロアと接続されている。これはいかにもカジノで勝ったらここで消費せよと言わんばかりだ。軒を連ねる店舗もブランド品や貴金属の店が多く、カジノで馬鹿勝ちして脳にドーパミンが出てる時しか買わないだろうという商品も置いてある。例えば、ダイヤモンドが散りばめられた$500のヘッドフォンとか。


ラスベガス・ストリップ


ストリップバー

ラスベガスのストリップには二つの意味がある。
一つはラスベガス・ブルバードというラスベガスの街の目抜き通りの別称。もう一つは、もちろんセクシーな女性がどんどんセクシーな格好になりながらダンスを繰り広げるストリップショーのことだ。

あまり大きな声で言えることではないが、今回の旅行でものは経験ということでストリップショーを訪問した。キャバクラと風俗店を足して割ったような仕組みと料金設定だったので、参考(?)ばかりに書いておきたい。


ラスベガスでは州法でストリップショーが規制されており、女性が上半身半裸までのストリップショーではお酒を振る舞うことができ、全身ストリップになるストリップショーではお酒の提供が許されない。客の暴走を防ぐためだろうか。あまり違いがあるとは思えないのだが・・・
尚、ネバダ州の州法でラスベガスでは売春行為が禁止されているため、そのような行為を要求してもまず受け入れられることはない。

今回私が訪問したのは前者のお酒がでるストリップバーだ。入場料が$40かかり、さらにお酒は普通のバーよりちょっと高めの料金設定で振る舞われている。
ここではもちろん会場のど真ん中にあるステージのストリップショー鑑賞がメインイベントではあるのだが、キャバクラのごとく客席に(というか客の膝の上に)ダンサー嬢が座って接客してくれる。客席で目の前でダンス(タッチあり)をしてもらうと$20という料金設定になっている。

さらに、気にいった子がいたら、特別なプライベートダンスルームで自分のために踊ってもらう(というよりおさわりメイン)ことができる。料金は15分で$150、30分で$250、60分で$400と、かなり高額。しかもそこにチップと長さに応じた強制的なドリンク代が入ってくるので結構な金額になる。
かなりな金額ではあるが、もちろん風俗的な行為にはおよべないので観光客向けの強気な価格設定と言えるだろう。


ラスベガスと言えば、カジノ、ショー、ストリップというくらい、ストリップバーはラスベガスの代表的な遊びの一つだ。
ガイドブックや現地の人にメジャーなストリップバーを聞けば、安全な所を教えてくれるはずだ。ラスベガスを全て堪能するなら一度訪れてみてもいいだろう。

2013/10/12

ラスベガスという都市



ラスベガスは特殊な街だ。
つい先日までとあるカンファレンスに参加するため、ラスベガスに宿泊していた。ラスベガスはアメリカの中でも、というか世界の中でも特殊な街であることは誰でも知っていることだろう。

ラスベガスはネバダ州の砂漠に忽然と現れる豪華絢爛な遊びと観光の街だ。世界の12大ホテルの内11が集まるというラスベガスでは、ひとつひとつのホテルがとてつもなく巨大だ。ベラジオ、シーザーパレス、ヴェネチアンなど、1000室を優に超えるホテルが乱立している。
更にはそれぞれのホテルに巨大なカジノがあり、さらにカジノで稼いだ人たちにお金を落としてもらうためか、ショッピングモールが併設されている。もはやホテルというか一つの複合施設なのだ。

Wikiによると、ラスベガスはそもそも1840年代にゴールドラッシュでカリフォルニアへ向かうゴールドマイナー達の中継地点として発達してきた場所だ。なぜなら、今のラスベガスの場所にはオアシスがあり、緑のある土地だったからだ。
1929年の世界大恐慌を受けてネバダ州はカジノを合法化し、さらにその後ニューディール政策で近くにフーバーダムが作られ、安価な電力がもたらされた。こうした歴史が積み重なり、ラスベガスがカジノの街となるのに適した環境を作り上げたのだ。


ラスベガスの定住者はわずか60万人程度しかいない。だが恐らくラスベガスには常時その人口の半分に迫るくらいの観光客がいるのではないだろうか。
ラスベガスの凄まじいところは、今でも巨大なカジノホテルが建設中にあることだ。ちょっと散歩をしてみるだけで、古いホテルを取り壊して新たに巨大ホテルを建設しているところや、もっとも栄えた場所から少し外れた場所に新たな超巨大ホテルを建設している光景に出くわす。

はたしてラスベガスはどこまで膨張していくのか、興味が絶えない場所であった。

2013/10/11

パートナーシップの信頼醸成に必要なこと 3


信頼

前2回に渡って深堀りしてきた、企業と企業のパートナーシップにおける信頼関係の構築についてのエントリー。
今回の第3回目で締めくくりとしたい。今回は前回の第2回目から続くビジネス局面における信頼構築の方法論について述べよう。


関連エントリー:

■締め切りを守る

ビジネス編の2つ目は、締め切りを守るという古くからのビジネスの基本だ。これは前回のエントリーで書いた「小さな実績を積み上げる」と同じコンセプトだと思うかもしれない。実際、締め切り通りに何らかのアウトプットをすることは小さな実績の積み上げに他ならない。だが、締め切りを守るというのはいくらパワープレイで特筆しても足りないくらいなのであえて分けて説明したい。

締め切りを守らない相手に対して信用を置いてはならない。この考えでほぼ間違いない。締め切りに対してルーズな人間は、表面上取り繕うとしてもやはりどこかいい加減なところがある。それがその人の仕事全体に渡って詰めの甘さが露呈する。
ただ、いかなる理由でもはじめに決めた期限を動かしてはならないと言っているのではない。様々な理由で最初に決めた締め切りを守れないこともあるだろう。もしパートナーが致し方ない理由で締め切りに間に合わないという連絡があれば、締め切りの変更を受け入れるだろう。

問題になるのは、大した理由もないか、なんの説明もなく当たり前のように締め切りに遅れる相手だ。こういう相手はなぜスケジュールを決めているのか、そしてそのスケジュール通りに進めなければプロジェクトがどうなってしまうのかということに想像が及ばない青二才だ。あるいは、自分の仕事に責任を持つことができない責任感欠如人間である。どちらにせよ締め切りを守らない人はパートナーとして信頼を置くにあたらない相手であることは明白なのだ。

■重要な変更は必ずできるだけ早く相談する

ビジネスパートナーに対してたまに大きな苛立ちを感じる(あるいは自分が相手に感じさせているかもしれない)のは、パートナーに対して大きな影響のある変更についてタイムリーに情報を共有されず、それが後になって発覚した時だ。

例えば、提携先パートナーのビジネスポートフォリオ変更のために自社が仕入れている製品を6ヶ月後には一切生産を取りやめる、という情報を4ヶ月後に初めて耳にしたらどうだろうか。あと2ヶ月で仕入先を変更するためにてんやわんやするだろうし、新しい調達先から足元を見られて高い値段で契約させられるかもしれない。影響範囲が大きい情報をただしく伝達してもらえなければ、大きな不信感が残るだろう。

会社の方針転換には仕方がない部分がある。だから、一度決まったことでパートナーに影響があることは、できるだけ早く情報共有することがパートナーに対する真摯な態度だ。

■過大な約束はしない

相手が自社を含む複数の会社からパートナー選定をしているとしたら、自社とパートナーシップ締結することのメリットを多少誇張してでも相手の興味を引き寄せたいと思うことがあるだろう。だが、過大な約束はあとで身を滅ぼす。

私の経験だと、自社がパートナーを選定する立場で相手がベンチャー企業の社長が営業畑の人間だったり、ステークホルダーの重要人物が営業出身である場合注意が必要だ。全ての営業がそうだと言うわけではないが、物事の良い面を必要以上に喧伝したり、マイナスの部分を上手く避けてトークすることに長けている人が多い。だからそのパートナーの本来の実力以上に評価してしまいがちだ。

自社がパートナーを選ぶ場合、相手が過大な約束をしていないか注意を払わなければならない。そして自社がパートナーシップを求める場合、過大な約束をしてはならない。いざパートナーシップを結べばいずれ露呈することだし、中長期的に見れば過大な約束による信頼感の喪失がネガティブなインパクトを持つだろう。とは言うものの、そもそもパートナーシップが実らなければ何も得られないので、多少のリップサービスは仕方がないことかもしれない。

営業出身者が社長を務める企業の弁護をしておくと、社長が勝手に過大な要求を相手から受け入れてくることがよくあるだろうか、こういう社長はそれを実現するためにあらゆる手をつくして現実を変えようとする。社員からするとたまったものではないかもしれないが、空約束することでお尻に火がついて現実を変えるエネルギーになるのだ。成功している会社はこういう会社も少なくない。



関連エントリー:

パートナーシップの信頼醸成に必要なこと 2



他社とパートナーシップを締結する上で、信頼感を高めるために必要なポイントについての続き。前回に続いてコミュニケーションにおける重要なポイントと、いざビジネスの局面に入った時に重要なポイントについて書いていきたい。

■ステークホルダー全員との面通し

相手と面の接点を持つというコンセプトに似ているが、何かのプロジェクトをスタートする際、できるだけステークホルダー全員が顔合わせをしておくことは重要な事だ。誰が何を担当しているのか、それがどんな人なのか、そして相手の組織の中で各人はどういう関係性にあるのか、多くのことを知ることができる。必ずしもロジカルに説明できないが、経験則からその組織とパートナーシップを結ぶことで、プロジェクトを進める上でどんなリスクがあるか、どんなことにパフォーマンスを発揮してくれる相手なのか、なんとなく直感的に見えてくるだろう。

ステークホルダー同士の面通しをするなら、古典的な方法ではあるがやはり飲みの席が良いだろう。円滑なコミュニケーションが取れるよう、うるさすぎないような場所でできるだけ個室がいい。もちろんビジネスミーティングの場でも構わないが、全員がくつろいで話せるような雰囲気作りが不可欠だ。

これからパートナーシップを結ぶことを検討している相手にステークホルダー全員から歓待を受けたりすると、ステークホルダーの一人か二人から歓待されるよりも好意的な印象を持ち、一緒にやっていきたいという前向きな気持ちになるだろう。相手に自社とのパートナーシップに興味を持って欲しい場合は意識してこの心理効果を使うと良いだろう。
逆に、自社がパートナーを選択しようとしている時には良い印象というバイアスがかかっているかもしれないので、注意が必要だ。ビジネスにおいては、情が移ってもロジカルに判断すべきことを忘れてはいけない。

<ビジネス編>

いざ将来のパートナーとビジネストークを始めると、相手の様々な面が見えてくる。特に相手のビジネスに対する姿勢が第一印象と異なることに驚くことも多いはずだ。コミュニケーションの時点では上手く信頼が築けていても、実際にビジネスを開始するとボロが出てしまうことがある。

■小さな実績を積み上げる

ビジネスの場で相手のどういう行為に信頼を置くかというのは人によってポイントが異なるだろう。だが、一つ確実に言えることは、一つの成功よりも一つの失敗の方が強い印象をもたらすということだ。良いことを2,3続けていても1回失敗をしてしまうと悪い印象のほうが強く残ってしまい信頼感を損ねる。

ここで言う「失敗」という言葉には少し説明が必要だ。私がここで言う「失敗」は、何か難しい問題に挑戦して失敗した事を言っているのではなく、怠惰や挑戦しなかったことを失敗と呼んでいる。一般論で言えば、ある指標を5%改善しようとしてこうした対策を行ったが3.7%しか改善しなかったという事実も、忙しいとかリソースが足りないとかそもそも改善のために手を打たなかったという事実も、等しく失敗という言葉で語られるかもしれない。だが、信頼感に関して言えば、前者と後者には雲泥の差があるのはお分かりだろう。

何も挑戦しなかった相手には、マイナスの評価しかしようがないが、トライした結果まだ課題が見つかったなら、次はもっと良くなるという期待が相手にできる。だからこそ、小さなプログレスであっても相手の信頼感に応えるためにに小さな実績を積み上げることは大変重要なのだ。世の中には自分自らやると言ったことすら全くやっていない人があまりにも多い。
相手にコミットしたことをしっかり実行し、実行した結果をちゃんと説明して次の展開を検討する。それができる相手が健全なパートナーだ。ただし、挑戦して失敗することに対する許容度は相手や状況によって異なることを理解しておくべきだろう。


次回でパートナーシップのエントリーを締めくくりたい。

2013/10/10

パートナーシップの信頼醸成に必要なこと 1

信頼

現在のビジネス環境ではパートナーシップを結ぶという事なしには考えられない時代になっている。

企業が単体でビジネスを完結するということはほぼ考えられない。製造業者は下請けの部品メーカーやパートナーから部品とモジュールを仕入れ、完成品を作成する。彼らが仕入れるのは材料や素材のようなどこから仕入れても大差ないものではなく、細かい仕様のすり合わせが必要な商品の一部となる部品だ。こうした部品の調達はクラシカルな仕入という行為ではなく、部品の設計と生産に関与するパートナーシップだ。
サービス業も同様、外部パートナーから調達するシステムやサービスが顧客へ提供する最終製品に大きな影響を与える。

製造業であれサービス業であれ、パートナーシップなしにビジネスが成立しない時代だ。

パートナーシップの信頼感醸成に必要なこと

パートナーシップの重要性は上に書いた通りだが、それではそのパートナーシップの信頼感を醸成するために必要なことは何だろうか。私の拙い経験からの気づきを共有したい。

<コミュニケーション編>

コミュニケーションはビジネスで一番重要と言っても過言ではない。どの企業でも採用基準にコミュニケーション能力をあげない企業はいない。あなたが営業であれば顧客との信頼を高めるためにコミュニケーション能力は不可欠だし、バックオフィスだとしても、社内顧客との信頼醸成のためにコミュニケーションは不可欠だ。
パートナーシップにおいてコミュニケーションを通じてどう相手から信頼感を勝ち取るかを考えてみたい。

■コンタクトの頻度を高める

誤解を恐れずに言えば、パートナーシップを深めるための第一ステップに必要なのは、異性を落とそうとするときと同じでマメな連絡だ。もちろんビジネスの現場ではただの与太話で相手の時間を奪ってはいけない。コンタクトは自分たちパートナーシップに関連する事柄についてでなければならない。

コンタクトの頻度を高めれば相手に好意を持ってもらえる、というのは昔から知られた知恵で単純に聞こえるかもしれない。だが、相手の顔もよく知らないパートナーシップの初期段階においてはとても効果の高い方法でもある。パートナーシップの初期に相手からコンタクトをたくさんもらったら、相手について考える機会が増えるし、記憶が深まる。そして何度もそのパートナーについて考えれば、よほど相手がまずいことをしでかさない限り、プラスの印象が積み上がっていく。

■コンタクトを点から面へ

できる営業マンの多くが実践する、顧客との信頼を深める方法がある。それは、できるだけ早いうちに顧客の決定権者に会い、また自社のポジションが高い人間を引き出して顧客に合わせることだ。自分と担当者だけの点のつながりだと、どれだけ相手が自分に対して行為を持って上司を説得しようとしても、その上司は合ったこともないベンダー担当者をなかなか信用できないだろう。むしろ、それだけ熱心に自分を説得しようとする部下を見てむしろ懐疑的に見られてしまうかもしれない。
こうした事態を防ぐために、そして相手に信頼感を持ってもらうために、できる営業マンは早い段階で決定権者を引き出そうとするのだ。

自社の偉い人間も引き出そうするのは、引き出した相手の決定権者に対する礼儀でもあるし、上同士が繋がってくれることによって自分の仕事をしやすくする目的もある。会社組織では担当者が最終判断を下すことも責任を取ることもできない。だから相手からすれば、こちら側の決定権と責任を持つ人間と繋がっておくことで、こちらを信頼してくれるようになる。


次回のエントリーではもう一つのコミュニケーションのコツと、ビジネスにおける注意点を述べたい。



2013/10/07

テキサス訪問所感

ビジネスパートナーへ会いにダラスに行く機会があった。とは言え、今回の渡米はダラスに訪問することが最終目的ではなかったのでダラスフォートワース空港周辺

に行っただけなのだが、それでもダラス(むしろテキサス?)特有の発見があったので書き留めておきたい。

ピックアップトラック率の異様な高さ
ダラスで気づいた一番の特徴は、ピックアップトラック所有者の多さだ。空港の迎えも、ホテルに駐車している車も、近くの会社にある駐車場も、感覚的に

3~5割はピックアップトラックであった。

ダラスに限らず米国全体が車社会ではあるが、テキサスも車がなければ生きていけない土地柄だ。だがピックアップトラックである必然性はないんじゃない

かと思うのだ。実際、荷台に荷物を積んでいるピックアップトラックは見当たらなかったし。
おそらく、ピックアップトラック所有者のほとんどが比較的若い男性だと思うが、ピックアップトラックには実際的な利用勝手の良さではなくて、男らしさ

のアピールのために選ばれているのだろう。

食文化がちょっと・・・
アメリカ全体に言えることだが、人種の多さや経済・文化レベルを考慮すると、食文化のレベルが低い。
もちろんニューヨークである程度お金を出せばそれなりのものを食べれるだろう。だが、美味しいレストランは恐らくアメリカンフードのレストランではない。

ニューヨークでもテキサスでも唯一おいしいのはステーキくらいだ。ものによっては一人前500gくらいのとんでもサイズのステーキが出てくるのだが、さすがに肉のグリルの仕方には年季が入っている。とはいえ、肉が美味しいのであって料理が美味しいとは言えないのだが。

そして朝食はスクランブルエッグとベーコンに食パンやベーグルというのが一般的な朝食。高価なホテルでもあまり感動する朝食には出会えない。

米国の食をディスりたいわけではないのだが、賛同してくれる人も多いのではないだろうか。

2013/10/06

SNSを使った新しい消費者調査「MROC」


SNSを活用した新しいマーケティングリサーチが登場し始めている。
SNSを使った消費者調査は、マーケティングリサーチオンラインコミュニティ(MROC)と呼ばれ、楽天リサーチなど国内のマーケティング・リサーチ会社も参入し始めているようだ(日経MJ 2013/9/4 P.3)。

個人がSNSで自由に意見を取り交わすようになった時代の変化に合わせて生まれた新しいリサーチの形であり、今後定性的なマーケティングリサーチの主流なリサーチ手法になっていく可能性を秘めている。

従来の消費者調査の問題
従来のアンケートやインタビューといったリサーチ手法はこれまで主流のリサーチ方法であり、今後も引き続き利用されることは間違いない。しかし、様々な問題を抱えている。

質問票を使ったアンケートは消費者調査のリサーチ手法としては最もよく利用されている手法だろう。調査員が立ち会う必要がないのでコストが安く済むし、定量分析しやすいフォーマットなので、アンケート結果から何らかの結論を生み出しやすい。

その一方で、どうしても設問のワーディングによって回答者が影響を受けやすいという弱点がある。例えば、「この本は面白かったですか」という二択問題の質問と、「この本はつまらなかったですか」という二択の質問では、同じことを聞きたいのに回答の結果が変わってくる可能性が高い。つまり、質問の作り方によって結果が大きく影響されてしまうのだ。
また、消費者がアンケートに記入した答えに至った経緯や過程を知ることができないという難点もある。


インタビューも消費者調査でよく利用される手法の一つだ。
インタビューの利点は、一人ひとりの回答者についてアンケートよりももっと深いレベルで知ることができることにある。アンケートでは課題であった、ある行動に至った経緯や過程も聞き出すことができる。

しかし、インタビューにももちろん問題があり、インタビューワーとの対話の中で、インタビューワーの期待に対して答えようとする心理的なバイアスが働いてしまう。ある商品についてのインタビューを、その商品を作っている会社の人が行っている状況を想像してみよう。インタビューを受けているあなたは、その商品を作っている人を目の前にして、ポジティブな意見とネガティブな意見、どちらが言いやすいだろうか?普通はできるだけ良い点をあげようとするだろう。

もう一つのインタビューの欠点として、コストと時間をあげなければならないだろう。

MROCとは
次にMROCのリサーチ手法について概要を説明する。
MROCでは企業ごとに調査用のSNSを立ち上げて、そこに数百から数千人規模のユーザーを参加させる。このサンプルを集めるのは恐らくリサーチ会社の仕事になるだろう。

コミュニティができたら、企業の担当者はコミュニティに対して質問を投げかけ、ユーザー間のコミュニケーションを促す。ユーザー同士の自由な議論を分析することで、ユーザーの心理やどのような背景によって商品の購入という判断に至ったのかを知ることができる。

MROCの強み
この新しいリサーチ手法の強みは、第一にコストの安さがあげられるだろう。言うまでもなく、数百人~数千人単位でユーザー同士にコミュニケーションをさせてその過程をモニターしようとすれば膨大な予算が必要になる。しかし、SNSという特性を上手く活用することによって、コストを格段に安くすることができるのだ。

また、ユーザー間の相互コミュニケーションをモニターできる点は他のリサーチ手法にはない強みだ。どういう経緯で人から影響されて商品を購入するのか、またはどのようなコミュニケーションと心理変化でブランド評価が上がるのか、モニターすることができる。グループインタビューという手法を使えば同じ結果を得ることができるのだが、ユーザー間の影響をグループインタビューの1時間とかではなくて数週間、数ヶ月という単位でモニターするのはMROCでしか現状できないだろう。


新しい商品や事業を作る役割の人にとって、消費者調査は切っても切れない関係にある。私自身、速くこのMROCというリサーチ手法で消費者のインサイトを調査してみたいと考えている。

2013/10/03

米政府機関閉鎖の余波

大きなニュースになっているので、既に殆どの方がご存知だと思われるが、米議会は期限の9月30日までに暫定予算案で合意できなかったため、米政府機関が閉鎖状態に陥っている。米政府機関の閉鎖とは文字通り、政府機関が稼働していない状態にあるのだ。
政府機関閉鎖に陥るのは実に17年ぶりで、様々な影響が発生するものと予測される。


第一に、最大100万人の政府職員が強制的に無給休暇を取らされている状態になっている。いつになったら解決するのか、という不満や精神的不安という政府職員個人の精神的な負担もあるし、何より閉鎖期間が3日間だとして100万人もの有職者の所得が10%一律減ることになる。もしこの期間が伸びようものなら政府職員のふところはどんどn寂しくなるだろう。
閉鎖による100万人の所得減少は当然ながら政府職員の消費意欲を冷やし、各方面へ影響が出る。影響が地味にクリスマスシーズンまで続いたりする可能性もあるかもしれない。
兎にも角にも早く暫定予算に合意し、政府機関が再稼働しなければ影響は大きくなる一方だ。


影響があるのはもちろん政府機関だけに限らない。国の予算で動いている医療プロジェクトや様々なプロジェクトが停止しているし、何より政府管轄下にある国定公園の営業停止が観光業界に大きく響いている。
米国の観光業といえばニューヨークやラスベガス、サンフランシスコといった都市部が有名ではあるが、欧米系やアメリカ人は旅行先に自然豊かな国立公園を選ぶことが少なくない。その国定公園が閉鎖されてしまったら、当然そこで商売をしていた露天やツアコン、また、ツアーを企画する旅行会社は商売上がったりだ。

実は私自身、今週末に仕事のついでにグランドキャニオンを訪れるつもりだったが、政府期間閉鎖が直撃して訪問できる目処が立っていない!なんてこった・・・


今回の政府機関の閉鎖は観光業界にとっては天災と同等かそれ以上に想定が難しく、対処のしようがない事態だろう。こうした問題に対する対策は、恐らく実務的なものはほとんどなく内部留保を増やしておく、コストの変動費化を勧めるという、財務的に筋肉質にしておくくらいした対処のしようがない。
だが、資本主義社会ではこうしたことが起こりえることを十分にリスクとして折り込んでおかなければならないのだろう。

参考:

2013/10/01

トレンド転換点に現れるブランドシフト

ブランドシフト

SNSというビジネスは利用者数、売上の規模共に非常に大きい規模であるにも関わらず、あらゆる業界の中で最も変化の早い業界だ。昨日までナンバーワンプレイヤーだったサイトが気づけばあっという間に2番手以降に甘んじていることがある。そんな気の休まらない業界だ。

そんな大きな変化は、多くの場合世の中の大きなトレンドの転換期に現れる。トレンドの転換点ではブランドシフトが発生しやすいのだ。

国産SNSの栄枯盛衰

2011年、日本マーケットにおけるSNS黎明期には国産のMixiがナンバーワンSNSであった。しかし、気がつけば海外から現れた実名SNSのFacebookに2012年後半に逆転され、圧倒的な差をつけられて、2013年の4−6月期には上場来発の赤字を記録している。

ある調査によると、Mixiのアクティブユーザー数はFacebookの1/4にまで減っているとされ、2年前には大学生の97%が使用していたのに対し、直近の調査では大学生のMixiユーザーはわずかに2%と実質的に大学生が全く利用しないSNSになってしまった。2011年にはMixiの笠原社長はFacebookのアクティブユーザー数はMixiの1/8程度で大きな影響はないだろうと発言していたにも関わらず、わずか2年で逆転され大きく引き離された。


中国SNS市場での同様のケース

Mixiと似たような減少は14億人の人口を抱える中国でも起きている。

中国で初めにSNSを広げた老舗SNSサイトは2005年に清華大学の構内SNSとしてサービスが開始された人人網であった。Facebookの機能やインタフェースを真似ていることで有名だが、サービス開始の経緯もまるでFacebookのようだ。サービス開始から8年たち、日本の人口を超える1.6億人のユーザーを抱えている。

しかし、人人網はMixiと同様後発のSNSにあっというまに追いつかれ、今では圧倒的な差をつけられる道筋を辿った。
後発である腾讯の微信は2011年1月にサービスを開始すると、2011年中に5000万人、2012年中に2.5億人を突破し、現在では4億人のユーザーが居るとされ、人人網をあっさり抜き去った。立った2年ちょっとで先行サービスの規模を抜き去り、ダブルスコアを叩きだしたのだ。それにしてもスケールのでかさがさすが中国だ。

トレンド転換点の敗者たち

Mixiにしろ人人網にしろ、短期間の間に後発に追いつかれ追い抜きさられたのには理由がある。
それは、モバイル化という大きなトレンドの変化についていくことができず、時代の波に乗り込まれてしまったということだ。

MixiがSNSの主戦場がスマホに移るのを横目で見ているうちに、ライバルであるFacebookやTwitter、LINEは一気にモバイルマーケットになだれ込んだユーザーを獲得していった。特に、大学生の間でスマホシフトとそれに付随するSNSのブランドシフトが顕著であり、TwitterとLINEがMixiから大学生のコミュニケーションツールの座を奪い去った。その結果が、大学生のMixi利用率2%という今の惨状なのだ。

決してMixiもモバイルシフトを黙ってみていたわけではない。2009年後半にはモバイルアプリを提供し始めていた。しかし、モバイルアプリを出すだけでは大きな時代の変化の中で起きたTwitter・LINEへのブランドシフトに対抗できなかったのだ。


SNSという最もスピードの早い世界では、わずか2年の間に最大手がローンチしたばかりの新サービスにひっくり返されることが往々にしてある。かつて数十年単位で起きていた業界内のトッププレイヤー入れ替わりが、いまや2年間で起きるのだ。
移り変わりの早い業界に身を置いているプレイヤーは、時代のトレンドの変化点におけるブランドシフトには常に注意していなければ明日はない。


photo credit: emdot via photopin cc

デジカメ業界の行方とソニーの挑戦


ソニーQX100

あなたは写真を取るのが好きだろうか。もし好きだとしたら、もしかしたらスマホで写真にハマった口ではないだろうか?
すでに周知の事実ではあるが、デジカメ業界の地図が大きく変わろうとしている。しかもかなりドラスティックに。

スマホの影響

今デジカメ業界の地図が大きく変わりつつあるのだが、その要因の大きな割合をスマホのカメラ(正確には携帯カメラ)が占めているだろう。

iPhoneに代表されるスマホカメラは、スマホが一世代バージョンアップするごとに画素数が増え、発色が良くなり、コンデジとの差が無くなっていった。コンデジとスマホまたは携帯を持つくらいなら、もちろんスマホひとつで済むほうが手軽だし、すぐに編集したりシェアできたりするスマホの方が多くの人にとってカメラとしての魅力があるはずだ。

こうしてスマホとコンデジは思いっきり競合し、そして利用者がものすごい勢いで増えているスマホにコンデジは破れてきた。

一眼レフデジカメへの移行

コンデジ市場からスマホに追い出されたデジカメ業界の生き残る方法は、高級路線が妥当な選択肢であった。

小型化、薄型化を目指すスマホはさすがに一眼レフに匹敵するような画質を求めるには物足りず、写真を趣味とする玄人の明確なニーズが一眼レフには存在していた。そして、コンデジやスマホカメラから写真撮影が趣味になった人達は、上位市場である一眼レフカメラに行き着いたのだ。

休みの日に街中や家族が集まるレジャー施設に行ってみれば、10年前には考えられなかったほど本気のカメラを持った若者や親たちの姿がそこにある。一眼レフデジカメのマーケットが広がったことにより、初心者に毛が生えた程度の人にも行き渡るように一眼レフデジカメの歩み寄りがあったことが伺える。

一眼デジカメの登場

最後にマーケットに飛び込んで来たのは、一眼レフのレフ板を取り去ってさらにコンパクト化した一眼デジカメだ。

一眼デジカメは一眼レフデジカメの本当にハイエンドな商品には叶わないようだが、初級〜中級者を納得させるには十分なスペックを持っている。そして同時に携帯性やデザイン性を失わず、価格的にも手が届きやすいということで、デジカメ業界の起死回生となる宿命を帯びた商品なのだ。

一眼デジカメはコンデジがスマホより本格的な写真が取りたいけれど、見た目や携帯性のスマートさを失いたくないというミドルマーケットを上手く開拓しているようだ。しかし、それでもデジカメメーカーが失ったコンデジのマス市場は補えていないだろう。

今後デジカメはどこに行くのか

今後のデジカメ業界は、引き続きローエンドはスマホカメラ、ミドルは一眼デジカメ、ハイエンドは一眼レフデジカメという状態が続くだろう。だが、その世界に新たな一石を投じようとしているのがSONYの意欲作、サイバーショットQX100だ。

この商品はイノベーティブであった頃のSONYを彷彿とさせるような商品だ。本体は一眼デジカメのレンズ部分だけのような見た目をしており、SONYのXperiaへアタッチすることで初めてカメラとして機能する。つまり、デジカメでありながらスマホがなければカメラとしての機能を果たせない。だが、スマホと組み合わせることで高級一眼デジカメ並みの高画質を実現できるという。

普段持ち歩いているスマホにレンズ相当のコンパクトな本体を持ち歩くだけで一眼デジカメ並みの写真を撮れるというのは面白いコンセプトだ。だがスマホがXperiaでなければならないという制約は普及を阻害するのに十分な理由だ。

SONYは是非この新しいコンセプトの商品をもっとビジネス的に成功させる方法を考えて、次の時代のデジカメマーケットを作り出して欲しいものだ。

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