2013/10/17

お客様に合わせることが導く新規事業の失敗 1

新規事業開発を進めていると、どうしても日常沢山の失敗に出くわす。
ある事業を立ち上げようとする場合、事業が立ち上がった状態をゴールとしてその途中にいくつかのマイルストーンを置き、プロジェクトとして物事を進める。プロジェクトが失敗する理由は、ある課題を解決するためのリソースが不足している、またはある行動を取るために必要な予算がない、はたまた技術的に実現できないステップが含まれているなど、挙げていけばキリがない。

あまたある失敗パターンの中で、深刻ながら問題の発生が気付かれにくく密かに進行してしまうのが、顧客の要求に柔軟に応えることによる失敗だ。
一般的に顧客の要求に応えることは善とされ、特に営業的視点から言えば正しいことのように思える。だが、新規事業の立ち上げフェーズ、特にテストマーケティングフェーズにおいては顧客中心の考えがプロジェクトを誤った方向に導く可能性がある。

正しいテストマーケティングとは

よくデザインされたテストマーケティングの場合、あらかじめ顧客のニーズに対する仮説が立てられ、その仮説ニーズに対して新しいプロダクトがどのようにニーズを満たすかが想定されている。そして試験的にプロダクトを販売し、その結果をレビューすることによってその仮説が正しいかを検証するのだ。

検証の結果が正しければ、仮説が正しかったと判断し、さらに付加価値を強化するなり正式リリースするなりという次のステップへ進むことになる。一方、仮説の結果が誤っていたとしたら、仮説と実際のニーズのズレを検証・分析し、その結果を受けたまた新しい仮説を立てる。そして正解に辿り着くまで繰り返す。
これが一般的なテストマーケティングのあり方であり、実行する目的である。

顧客ニーズに合わせることが導く失敗

しかし、ここに顧客中心主義という視点が入ってくると話が少々ややこしくなる。
私のチームで発生した失敗の話になるが、顧客中心の考えが過ぎるとテストマーケティング段階で導入してくれそうな顧客のニーズに合わせ、すぐにプロダクトへ変更を加えようとしてしまう事があるのだ。マイナーチェンジ程度ならいいが、プロダクトの本来的な価値が変わってしまうような改修を悪びれず実行してしまうのだ。

例えば、本来社員のコンプライアンス意識を高めるために作ったWeb学習システムを、たまたま顧客が新しい店舗の従業員教育に使いたいというアイディアが思いついたのを聞き、コンプライアンスWeb学習システムを新店舗従業員Web教育システムに作り変えてしまうようなものだ。確かにその顧客には売れてお互いハッピーかもしれない。だが、製品の提供価値が変わってしまったら、事前に立てていた仮説が正しいかを確認することができず、テストマーケティングから得られることが何もない。その結果、ビジネス化すべきかどうかの判断ができなくなってしまう。
さらにはそのプロダクトが大きな事業の一つのパーツとなることが期待されていた場合、プロダクトの提供価値が変わってしまったら全体のビジネスモデルが狂ってしまうだろう。


次回エントリーへ続く

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