2013/10/19

中小企業を複数経営する社長が会社を大きくしないワケ


keep it small, simple

私は中堅〜大手の上場企業、上場企業子会社にしか務めたことがないのだが、それでも社会人経験が長くなると、気付けば中小企業の社長と面識ができたりする。こうした社長の方々からビジネスの話を伺っていると、まだまだ会社を大きくする余地はあるにもかかわらず、社長に会社を大きくしようという意欲がないことに気付く。

一般的に言って、20代や30代前半の自らベンチャー企業を名乗る社長ほど会社を大きくすることにこだわり、目指せ年商1000億だ、1兆だ、という野心的な目標がホームページに踊っている。長年こうした中小企業の規模拡大意欲が低い社長達と若いベンチャー企業社長達の違いについて考えていたのだが、まさに必要以上に拡大したくないという企業の社長に話を聞いて、腹に落ちた。

Keep It Small

中小企業の社長達は、シンプルなビジネスをシンプルな環境で営みたいと思っている。
年商5億円程度で20〜30人程度の会社だと、必然的に一つの事業や製品シリーズしか扱うことができない。だから組織をシンプルに保つことができ、経営企画部やコンプライアンス、その他のスタッフ部門を最小限に保つことができて間接費を押さえることができる。

さらに、良くも悪くも従業員のコストが安い。
中小企業であれば大企業に比べて待遇が悪いのは仕方がないことだと従業員側も納得する。給与自体が低いのは当たり前だし、福利厚生が充実していないのも当たり前だし、業績が悪くなれば首になるのも仕方がない。経営者からすると、下手に企業を大きくすると人件費を上げなければならないので、できるだけ中小企業のまま人件費を抑えておきたい。もちろん、一般的にいって獲得できる人材の質は低くなりがちという問題もあるが。

その社長の経験則によると、従業員が30人を超えたあたりから社員の意識が変わり始めるのだという。この会社はあれをしてくれない、これをしてくれない、という他責の考えが生まれ始めるのだ。
会社が小さいうちは皆それどころではなく、自分も頑張らなければ生き残っていけないという危機感がある。この逞しい中小企業の原動力となっている意識が薄れ始めるラインが30人程度なのだとか。だからこの社長によると、よほど大規模な会社にならない限りは30人弱くらいの規模がもっとも効率が良いのだという。


ここまでが表の理由。そして裏の理由が二つある。
一つは、30人程度の規模を超え始めると、社員の間に派閥が生まれたり、徒党を組んで職場環境の改善や待遇の改善を求めてくることが多くなるらしい。だから中小企業の社長はこうした煩わしい問題が発生しないように、自分がオーナーの別会社を作って規模を調整する。

もう一つは、経費を使う自由度の高さだ。大企業が接待費を全て利益から捻出しなければならないのに対し、中小企業は年間800万円までの接待費を損金算入できる。もし足らなければ会社を二つ持てば枠が2倍になるわけだ。
また、上場企業のようにうるさい株主や取締役もいないので、自分の一存で会社のお金を合法に使うことができる。もちろん法に触れない範囲で。

ベンチャー企業社長は、IPOして大金を手に入れたような企業の社長を除けば、質素な生活をしている若者が多い。彼らは会社を大きくすることに目的意識を見出しているので、余計な金を使わずできるだけ会社の成長に投資しようとする。一方、成長を目指さない中小企業の社長はあえて会社の成長に必要以上の投資をしようとせず、顧客や人脈の獲得のために投資する傾向がある。平たく言うと、中小企業の社長のほうが派手に遊んでいることが多い。

とは言え、これはあくまでも経営が上手く行っている一部の中小企業の社長のことであり、ほとんどの中小企業は事業を継続することにすら四苦八苦なのだが。

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