2013/10/23

「早い・安い・うまい」がブルーオーシャンだったネイル業界

ジェルネイル

早い・安い・うまいというのは商売における基本的な顧客提供価値の一つだ。
特にデフレ経済下にあっては、早い・安い・うまいの手軽軸の業態が繁栄する。不況のまっただ中にあったとき、すき家や松屋、あるいはディスカウントストアのような代表的デフレ企業の調子が良かったのは記憶に新しいだろう。

業界の全てのプレイヤーがすき家や松屋のように手軽軸ということはなく、高級フランス料理のような高級路線の業態(商品軸)もあれば、顧客の趣味に合わせて定食メニューを入れ替えてくれる顧客個別の嗜好優先(密着軸)の業態もある。ある程度歴史のある業界であれば、自然とプレイヤーは手軽軸、商品軸、密着軸に分散するものだ。
だが、意外と特定の軸がブルーオーシャンになっている業界もある。それがネイル業界だ。


日経MJの記事によると、ジェルネイルという商品カテゴリには有力な手軽軸のプレイヤーが存在しておらず、安い・早い・便利を武器にした業態が好調であることを示している。

日経MJ 2013/10/23 P.9――――――――――
通常のマニキュアより長持ちするジェルネイル。ネイルサロンでは人気のメニューだが、施術は一時間程度と時間がかかる。1回あたりの費用も6千〜7千円程度と高額で、普及の課題となっていた。そのジェルネイルに「早い・安い・うまい」を取り込んだサロンが登場。育児や仕事で忙しい女性に時短サービスを提供し、店舗を拡大している。
(中略)
平均30〜40分程度で施術が終わる。価格も3139円からと従来の半額程度だ。
(中略)
ファストネイル開発のきっかけは「料金、時間、仕上がりを明快にしよう」(ファストネイル運営会社コンヴァノ島谷尚子マーケティング本部長)という考え。2010年に1号店を回転以降、忙しい女性の需要をとらえ、9月の既存店客数は前年同月比33%増だ。
――――――――――――――――――――

景気が上向いてきたとは言え、4年目の業態で対前年比で33%の顧客増はなかなかの数字ではないだろうか。
ジェルネイルの価格帯を調べると、レッドオーシャンにあり価格下落傾向にあるのだろう、6000円台から安いところでは5000円程度のところもある。だがさすがに3000円台前半というのは見かけない。全く違う価値軸のフィールドで勝負していると言ってもいいだろう。

実際に顧客層も異なる。ジェルネイルのメインターゲットは女子大生やフリーターだろう。しかし、記事になっているファストネイルでは主婦やOLの顧客が多い。
一般論として主婦やOL、特に独身を謳歌しているOLは女子大生やフリーターよりも可処分所得が多いはずだが、なぜ安価で8000円するサービスよりも質に劣るだろうファストネイルを選択するのだろうか。恐らく家計を守る主婦であれば不要不急の出費は極力抑えるという考えが働くだろうし、忙しいOLや子育て中の主婦には価格の安さよりも施術時間が短い点が受けたのだろう。

早い・安い・うまいの手軽軸のサービスは必ずしも「安い」だけに反応する顧客だけではなく、時短に価値を見出す顧客も惹きつけるのだ。


ある商品やサービスが普及期に入るとき、早い・安い・うまいのサービスによって一気にマーケットが広がる事が多い。例えばパソコンは昔は限られた用途で一部の企業だけが使用するものであったが、今では当たり前のように誰もが所有するコモディティになっている。これはパソコンが一般家庭に流通できる価格帯に落ち着いたからだ。
だから普通のマーケットではまず安価な商品が蔓延するものだが、ジェルネイルに関しては逆に手軽軸の商品がブルーオーシャンになっていたというのは興味深い。意外とそういったマーケットは身近なところに転がっているのかもしれない。それを見つけることができたら大きな金脈を探り当てたに等しいことだ。

0 件のコメント :

コメントを投稿

LinkWithin

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...