2013/10/30

EC事業者のO2O戦略

一般論として、心理的にネット販売で高単価商品のものは購入しにくい。Amazon.comなど何度も利用して信頼にたる業者だと思っていたとしても、なんとなく対面販売より高額商品には手を出しにくい。どうしても人は高単価商品を買うときに、たとえ意味がなかったとしても自分の目で見て触って確かめてから購入したいと思うものだ。
これはいままでEC事業者が頭を悩ませている人間心理であった。

だが、これまで信じられてきた「消費者は高単価商品をネット購入しない」という常識をくつがえすような事実が出てきている。

O2Oが示す高単価商品ECの道筋

日経MJ(2013/10/25 P.3)によると、ブリリアンス+というECジュエリーショップがO2Oによる高単価商品のEC販売に成功している。
一般的に、ECショップでジュエリーを購入しようと思う人は少数派だろう。誰もが騙されるんじゃないか、という猜疑心に駆られてネットでジュエリーは購入したくないと考える。例え実店鋪で偽物を売っていたとしても、ほとんどの人がそれに気付くことができないはずなのに、人間の心理とは不思議なものだ。ともあれ、このECショップでは最高187万円の商品を販売したという。

ブリリアンス+ではショールーミングのための実店鋪を展開している。顧客はその店舗に訪れても商品を売られることがなく、「買わされる」という警戒心なしに思う存分商品を見て選ぶ事ができる。そして、商品に満足すれば顧客に自ら購入してもらうのだが、ショールーミングのための店舗を訪れた後に購入する人は、普通にECショップに訪れて購入する人より3万円単価が高いのだそうだ。ECショップの客単価が22万円だというから、O2Oで購入した顧客はおよそ14%単価が上がっていることになる。

ショールーミング店舗という新しいカタチ

EC事業者にとって、ショールーミングのための実店鋪というのは新しい強力な選択肢になるかもしれない。
趣味製品やジュエリーやブランド品のような高単価商品は、やはり一度見て触ってから購入したいという顧客は多いだろう。例えそれが中古品でなくて新品であってもだ。ショールームをEC事業者が展開することによって、本当は安いネットで高単価商品を買いたかったけれど、一度見て触ってみないことには決済ボタンがどうしてもクリックできないという人を取り込める可能性は高い。

ショールーミング店舗のメリットは、購入したかったけどできなかったという人を集めるだけに留まらないだろう。
このショールーミング店舗では、在庫を持つ必要がなく、展示品だけがあれば良い。だから在庫整理や発注作業、そしてそもそも店舗の存在理由である販売作業が全く存在しないことになる。在庫用のバックヤードを必要としないので、狭い敷地で十分な店舗スペースを確保できるから地代が安くなるし、先にあげたような作業がないから人件費も安く済む。

設備についても、商品の展示品とカタログや販促品の他、その場で購入したいという人のためにPCやiPadを1台だけ用意すればそれだけで事足りてしまう。

また、趣味性の高い商品ほど店員の専門知識や接客レベルが求められるが、ショールーミング型店舗であれば社員を1人か2人配置するだけで、アルバイトやパートを採用する必要もないだろう。だから商品知識と接客の質をキープして、玄人な顧客も満足させることができるはずだ。


EC事業者によるショールーミング型店舗には、集客だけでなく単価を上げるという効果も実証された。EC事業者にとっては新たな戦略のケーススタディを得たと言えるだろう。採算ラインが見極められれば、今後EC事業者によるショールーミング店舗の展開が広まってくるかもしれない。

ただし、ショールーミング店舗には一つ重大な欠陥がある。それは、買ったその場で持ち帰りたいという顧客の意向を満たすことができないということだ。だが、新たな利を得るために必要な切り捨てと言えるのかもしれない。

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