2013/11/23

規模というアセットと、後追いという戦略で他を圧倒するセブンイレブン・ジャパン 4/4

セブン&アイロゴ

セブンイレブンの強みを解剖する本エントリーのシリーズ。

最終回の今回は後発参入戦略というセブンイレブンの隠れた強みを解剖してみよう。「隠れた」と書いたのは、この後発参入戦略は先に説明したドミナント戦略や規模にレバレッジを掛けた商品戦略よりも目につきにくいものだからだ。だが、セブンイレブンはこの戦略がそのナンバーワンの地位に貢献している割合は高い。


ナンバーワンプレイヤーの後発参入戦略

業界としては成熟しているコンビニエンスストアだが、商品開発や店頭サービスの小さなイノベーションが起こっているスピードは、ドッグイヤーとかラットイヤーと言われるIT業界並みのスピードかもしれない。気付けば店頭で公共料金の支払いや自賠責保険も購入できるし、日中に受け取れない宅急便の荷物を夜中に受け取ることもできる。これら一つ一つのサービスの追加と、それをさほどトレーニングに時間やコストをかけられないアルバイト従業員に運用させるのは容易ならぬイノベーションだ。

先に上げた店頭のイノベーションは実はセブンイレブンが先陣を切って取り組んできたサービスの例だ。だが、商品によっては飛びつく前に十分に商品を成熟させる時間を取って、後発から競合を抜き去る作戦に出ているのが面白い。

後発参入の店頭ドリップコーヒー

最近コンビニの店頭ドリップコーヒーが同じ100円コーヒーを提供するマクドナルドや、コーヒーショップのテイクアウトニーズを奪っている。今や大手はどこも参入している店頭ドリップコーヒーだが、実は1日1店舗あたりの売上数はダントツにセブンイレブンが優っている。セブンイレブンが1日90杯に対し、2番手のローソンでも60杯と1.5倍の差をつけられているのだ。ファミリーマートやサークルKサンクスはそれ以下で1日40杯にすぎない。

これだけセブンイレブンが圧勝したのには立地やその他の商品の品ぞろえなど様々な要因があるだろうが、一つはドリップマシンの性能にあるだろう。セブンイレブンは店舗でのニーズに答えるドリップマシンの開発のために、実はトップ4社の中で最も店頭ドリップコーヒーの参入が遅かったのだ。

日経MJ 2013/11/13 P.1―――――――――
いれたてコーヒー自販機などで実績を持つ富士電機とタッグを組んだ。店頭で邪魔にならない大きさで一杯ずつ45秒で抽出。従来は1時間かかったメンテナンスは5分でできる。導入費用も1台数十万円程度と4分の1にするなど多くの木法を掲げ、完成までに2年をかけた。
<中略>
導入が急速に進んだのは低廉な費用やメンテナンス容易さが大きい。緊急時に調達しやすいように、部品は全て国産。故障時には富士電機の技術者が直ちに駆けつけるバックアップ体制も敷く。機会ロスに加えて、来店客からのクレーム等を懸念するフランチャイズチェーン(FC)オーナーらの「安心感」にもつながっている。
―――――――――――――――――― 


セブンイレブンの企画力や運営力ならライバルから何年も遅れること無く参入することができただろう。だが、テイクアウトコーヒーへのニーズは同じコンビニ業界以外にも競合が多い。だからこそコンビニの早い回転にあわせて客を待たせたくないというFC店のニーズと、安くてもそれなりに美味しいコーヒーが飲みたいという利用者のニーズを満たせるドリップマシンを作るのに時間をかけた。

セブンイレブンの後発戦略はドリップマシンだけに留まらない。ローソンが積極的に展開しているナチュラルローソンや100円ローソンのようなコンビニのバリエーション展開にも、セブンイレブンが後発で挑戦している。


規模で圧倒するセブンイレブンが、後発で品質を高めた上で新しいサービスに参入するという戦略を強みにしている。これはナンバーワンプレイヤーとして手堅く確実な手段だ。規模で圧倒しているのだからクオリティを磨き上げれば後発参入でもひっくり返せる。ナンバーワンの座に安穏とせず、その強みを上手く活かしてくるトップ企業は2位以下の競合にとって手強い相手だ。

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