2013/12/28

ビジネスプロデューサーに求められる拡散思考と収束思考 2/2

拡散思考と収束思考


■アイディアを収束させる思考

次に事業企画における収束思考を考えてみる。
収束思考とは、拡散して生み出したアイディアを実現性や方向性というフィルターでふるいにかけて絞り込むことだ。事業企画という観点では少なくとも次の5つの観点で絞り込んでいく必要があるだろう。

・ニーズがあるか 
これはとてもベーシックな話で、その生み出したアイディアを本当に欲しがる人がいるの?という問いを試すことだ。これはアイディアの拡散に熱中しすぎると、熱中のあまり本当に顧客のニーズがそこにあるのかという検証がなされないままアイディアの実行に突き進んでしまい、なまじ商品化されたとしても全く売れずプロジェクトがポシャってしまう。本当にそこに顧客のペイン(課題)があるのかという検証は決して忘れてはいけない。

ニーズをどのように検証するかといえば、既存事業ドメインから大きくハズレないなら顧客へのヒアリングが簡単でありながら信頼がおける。全く新しい事業領域なら外部調査会社を利用したアンケートなども考えられる。だがこれらの方法は新しいアイディアの紹介の仕方や諸々の状況による顧客の反応に左右されてしまうので、信頼性に疑問を感じることもある。いちばん確実なのは実際に商品を売ってみるテストマーケティングだが、投資が必要だ。

・実現できるか
これは諸刃の剣とも言える観点だ。売上数億円の企業が、何百億円もの投資が必要な事業アイディアを出すのは実現性という観点から難しい。だから小さな企業で事業開発アイディア生み出そうとすると、自然と担当者の頭のなかで大規模投資が必要な案件がフィルターされてしまうことだろう。これは実現性から言えば正しいのかもしれないが、大企業とジョイントベンチャーを組んだり、ウルトラCのアイディアで実現できたかもしれない。むしろ、スタートアップ企業がマーケットを変革するようなビジネスを生み出すのは、どう考えても非現実的なビジネス構想を突飛なアイディアと方法論で実現させたときだ。

それは現実的か?というフィルターは確かに重要だ。だが、拡散思考の早い段階であまりに強くそのフィルターをかけてしまうと、インパクトのあるビジネスが生まれなくなってしまうことを認識すべきだ。

・換金化できるか
そのアイディアをどうやったら換金化できるのか?という問も忘れてはならない。Web系のスタートアップを見ていると、まず何はなくともユーザーを獲得することにだけ集中し、換金化を考えていないことが多い。確かに超巨大になったWebサービス、例えばFacebookやTwitterは初めから換金化の方法について具体的なイメージは持っていなかったが、今ではIPOし大成功しているというケースもある。だが、その裏で結局ユーザーを集めたものの、換金化が上手くいかずに潰れたスタートアップがどれだけあるだろうか?

BtoCのスタートアップなら換金化は後回しでも上手くいくケースはあるのかもしれないが、基本的に事業アイディアの中に換金化の方法は組み込まれているべきだ。

・スケールできるか
単純な話、いくら利益率が高くて客単価が高くとも、そのビジネスモデルがまったくスケールできない(拡張できない)のではすぐに売上が頭打ちになってしまう。顧客単価が1億円のビジネスモデルだとしても、この世で10社しかその商品を欲していなければ、それ以上売上も利益も伸びることはない。これはあまり魅力のない事業アイディアだ。

とは言うものの、小資本少人数でこうしたビジネスを回していれば利益率が高くて社長や役員はウハウハかもしれない。それに狭いマーケットには参入者が現れることも少ない。だが低価格で攻める競合が現れたら一発で事業が破壊される。

これはその会社の考え方次第かもしれないが、基本的事業企画担当者としては、スケールできるビジネスを求めるべきだろう。

・社会にとって良いことか
最後に忘れてはいけないのは、その事業アイディアが本当に社会にとって良いことかという観点を忘れないこと。いくら顧客企業が喜んで自社も儲かって株主が大喜びしても、最終的にその事業が顧客企業の先にいる消費者を搾取するようなビジネスであった場合、自分の事業アイディアがその消費者を搾取しているのだ。それは本当にあなたがやりたかったことだろうか?自社や株主が儲かれば、消費者を搾取しても構わないのだろうか?最終消費者も喜んでお金を払う事業アイディアが最も優れている。

ビジネス的良心を失ったビジネスプロデューサーには決してなってはいけないと私は思う。


事業アイディアの収束的思考では、これらのフィルターをかけて実現性やスケーラビリティを検証しつつ、アイディアをスライドさせたりピボットさせたりしながら、実現性があって社会的インパクトがあって儲かる新しい事業を探すのだ。これは脳みそがヒリつくほど左脳的思考で考えきらなければならない。

■拡散と収束をプロセス化する

新しいアイディアでありながら実現性かつ社会的インパクトかつ儲かる事業アイディアを稲妻のように突然思いつきで出せる人も天才も少数いるだろう。だが、これは到底真似できるものではないし、リプロデュース(再現)できるか分からないものだ。リプロデュースできなければただの一発屋であり、プロフェッショナルではない。事業企画のプロフェッショナルとは、優れたアイディアをリプロデュースできる確率を極限まで高めた人のことだ。

プロセスを拡散→収束という型に落としこんでいく。この型を意識して、今自分がどのプロセスを担っているのかを意識して頭を使うのだ。あまり頻繁に拡散と収束を繰り返していくと良いアイディアは生まれないからだ。

優れた事業企画をリプロデュースするには拡散思考と収束思考をそれぞれに強化することが重要だろう。まずはアイディアを生み出すために多くの情報を取り入れて、それらの情報を回して有機的に組み合わせて新しいアイディアを次々と生み出していく。そして生み出された新しいアイディアを様々な収束志向の観点で切り出し、ロジカルに、数字を用いて1つひとつ検証していく。これが事業開発のプロフェッショナルに求められるスキルとスタンスだ。
 
  

0 件のコメント :

コメントを投稿

LinkWithin

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...