2013/12/03

選択の自由という個人の欲求は会社の購買行動を変えるか

選択の自由

企業が製品やサービスを導入するとき、意識の上では直感的・感情的な判断が下されていることはない。そう私達は信じている。だけど企業を構成するのも人である以上、あらゆることに完全に理詰めで判断を下すのは高望みだろう。

中にはこの企業の中の「人」の心理を揺さぶることで売れる商品があるのではないだろうか。人間が判断を下す心理の働きは数多くあるだろうが、比較的誰もが無自覚で無防備なのが選択の自由が欲しいという欲求だ。食欲や睡眠欲のようなプリミティブな欲求よりかなり高次の欲求で、理性でコントロールできるようにも感じる。だが、選択の自由を保有ことにお金をかける人は少なくない。


例えば人材採用サービスの変化。クラシックな採用方法は、自社のホームページや求人広告などに自社の求人情報を載せて、応募して来た人を書類選考し、面接をし、決定していた。言うまでもなく誰を選ぶかは企業が決めることができるのだけれど、実は採用できる人材の質の上限を決めているのが求人情報を見て応募してきた人というボトルネックだ。3人しか応募してこなかったら、はたまた50人応募してきても一人も目ぼしい人材がいなかったら・・・そう考えると人事担当者はできるだけ最初の集客を有利にしてくれるサービスを使いたいと思うことだろう。そのために企業は毎年新卒採用の時期に数百万掛けてリクナビやマイナビで広告を売って自社の魅力をアピールする。

採用担当者の本当の心理的なボトルネックがどこにあるかに目をつけたビジネスが、ソーシャルリクルーティングやダイレクトリクルーティングという新しい採用のモデルだ。ソーシャルリクルーティングやダイレクトリクルーティングというビジネスモデルでは、顧客である企業の採用担当者は人材のデータベースにアクセスし、必要なスキルを備えた人材を検索して面接のオファーを送る。そのデータベースに登録されている人、という限定はあるものの、その範囲で全ての可能性に当たることができるわけだ。

この、「全ての可能性に当たることができた」という心理的な充足感が重要だったりする。全ての可能性を試したという満足感は損失回避の心理と可能性をコントロールできているという心理が作用して生まれている。1/2の確率で勝てば100万円を貰え、負ければ50万払うという勝負はほとんどの人が忌避する。期待値は明らかにプラスであるにもかかわらずだ。それだけ人間は損失を忌避したがる傾向が強い。また、人は可能性の数や質よりも、可能性をコントロールできていることに満足度を覚える動物だ。絶対に美味しいワインを一種類だけ売っている店と美味しいのも不味いのも含めて100種類のワインを売っている店では、どちらでワインを買いたいだろうか?

このように、可能性の数や質そのものよりも可能性をコントロールできることに価値を置くのが人間という生き物だ。それは企業としての判断にも影響するのではないだろうか。ソーシャルリクルーティングやダイレクトリクルーティングのような企業向けサービスも、導入の動機の少なからぬ割合は「可能性をコントロールできる」ことにあるのではないだろうか。
 

  

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