2013/12/17

クラウドを生活密着型サービスに活用するKeyMe

KeyMeキオスク

だれでも会社や学校に鍵を忘れてきてしまって家に入れないだとか、鍵を落としてしまって大家さんの世話になるなんて経験をしたことがあるだろう。一日の仕事から開放されてやっとのことで家の玄関についたら、かばんのいつもの場所に鍵が入っていない。その時の怒りとも絶望とも言えないあの感情は筆舌に尽くしがたい。そんな状況から救ってくれるサービス(今のところ米国のみで利用可能)がKeyMeだ。


KeyMeは自分の部屋の鍵をデータ化してクラウドに保存し、いざというときにその鍵データから合鍵を作成できるというサービスだ。

まず、利用者はApp StoreからKeyMeのアプリをダウンロードし、鍵の印影を撮影する。するとデータがクラウドにアップロードされ、鍵の作り(ギザギザ部分)が数値データに置き換えられる。ちなみに、鍵のギザギザはランダムではなく、切り込みの形や深さに規則性があり数値に置き換えることができる。なので、ロックスミスは鍵の数値データさえ分かれば鍵を複製することが可能なのだ。

万が一鍵を紛失してしまったら、このクラウドに保存した鍵のデータを取り出して鍵の複製に利用することができる。鍵の複製はNew Yorkのいくつかのセブンイレブンに設置されている専用キオスク端末(上部の画像)で作成するか、後日メール便で、もしくは当日中に鍵屋にデリバリーしてもらうことができる。鍵を紛失してロックスミスを呼び、その場で解錠作業をしてもらうとアメリカでは数百ドル取られるそうだが、鍵データを渡して合鍵を届けてもらえば、そのコストを60-80%抑えることができるそうだ。

ちなみに、単純な昔ながらの鍵だけに対応しており、最近日本では主流になりつつあるディンプルキーには対応していない。これはディンプルキーの写真を数値データに置き換えるのが難しいという技術的な問題のせいなのか、アメリカではディンプルキーがマイノリティだからなのかは分からない。


KeyMeのサービスは固定費は取らないようで、鍵のデータをクラウドから取り出して使用する際に9.99ドルかかる。果たしてこのビジネスモデルは成立するのだろうか?
鍵を失くす、または忘れてしまってロックスミスを呼ぶ確率は、高く見積もっても3年に1回程度だろう。すると、1000人登録者がいてようやく1日10ドル、つまり月300ドルの売上が発生する。たとえ10万人が登録したとして、やっと月の売上が3万ドルに達成する程度なのだ。よっぽど生活のインフラとして誰もが当たり前のように利用するものにならない限り、スケールしないビジネスモデルだ。

とは言うものの、経費はほとんどかからないし頻繁なシステムのアップデートも必要ないので、売上がほとんど利益に直結するビジネスモデルでもある。また、ユーザーからの直接の売上だけでなく、ロックスミスがKeyMeの依頼で合鍵を作成、デリバリーした際の売上手数料があるだろうから、もう少し売上はあるだろうか。派手ではないが、一旦インフラとして定着すればユーザーがサービスを切り替える可能性も低く、利益率が非常に高い美味しいビジネスになりそうだ。

だが、一方で生体認証によるロックや暗証番号によるロックが普及すると足元を救われる可能性を秘めている。それになんらかの理由で情報が流出した時の訴訟リスクは大きい。


KeyMeは鍵のデータという非常に機密性の高い情報をクラウドに預けるビジネスモデルが成立しているのが面白いところだ。セキュリティを確保するためにハイレベルな本人認証プロセスを設ける、必ずキーホルダーなどの付帯物から外して白い紙の上で鍵の印影を撮影するという条件を持たせることでその鍵の所有者であることを担保する、といった対策が取られている。とはいえまだまだ安心できるレベルではないだろう。
クラウドの情報機密性が名実ともに安全であることが担保されれば、そのうちデジタル化された遺言状や土地権利書を保存するクラウド貸し金庫のようなサービスが生まれてくるのかもしれない。
 
 

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