2014/01/18

アメリカは労働生産性が高いというけれど

各国労働生産性

日本は労働生産性が低いと言われ続けている。GDPの規模に比して労働人口一人当たりのGDPが低いというのだ。欧米諸国と同じ先進国でありながら、生産効率が悪いという論調がよく新聞に踊っている。

だが、生産効率性で3位のアメリカ人と仕事をしている私の経験からすると、そんなシンプルな話ではない。一社一社、一人ひとりのビジネスパーソンというミクロ視点でみると、少し違うものが見えてくる。

実際の労働生産性

労働生産性を研究している公益財団法人日本生産本部によると、2012年における日本の労働生産は7.2万USドルで世界第21位だ。これに対して1位はルクセンブルクの12.8万USドル、2位のノルウェーが12.7万USドル、そして3位がアメリカで11.3万USドルだ。日本は1位、2位に対して約1.8倍、3位のアメリカに対して1.5倍差を付けられている。
時間あたりの生産性に直すと、1位がノルウェーになり86.7USドル、アメリカは4位に後退し64.1USドル、日本は20位で40.1USドルだ。ノルウェーが日本やアメリカと比べて働く時間が短く、労働効率が良いことが分かる。

ちなみに、労働生産性の求め方を簡単に解説しておくと、各国のGDPを購買力平価で換算し、就業者数で割ったものが労働生産性だ。国民一人当たりがどれだけ1年間にGDPを生み出しているかを求めた数字だ。そしてその数字を一人あたりの平均労働時間で割り戻すと時間あたりの労働生産性を求めることができる。


日本とアメリカの生産性の違い

本題の日本と欧米の労働生産性の話についてだ。私はアメリカのパートナー会社と一緒に仕事をしているのだが、確かに仕事のスピードは早い。例えば、契約でなかなか担当者同士で話がまとまらないときは、すぐにCEOや意思決定者が同席して電話会議を行い、その場その場で意思決定をしていく。日本の企業のように、会議を「次回までに確認しておくことのリスト作り」に利用することはない。アメリカのビジネスマンからしたら、何人も雁首揃えて会議に臨みながらそこでは何も決められず、何もかも持ち帰って確認します、という日本式の会議の進め方に大きな違和感を感じることだろう。

じゃあ、やはりアメリカ人はビジネスにおいてすべての面で日本人よりも生産性が高いのかと言われると、決してそんなことはない。業界の因習なのかは分からないが、私が相手をしているテック系のベンチャー企業は日本の企業にいる私からすると、非常に仕事が雑だ。システムの変更点や改修点をディスカッションするとき、アメリカ人は即座に電話会議を開いて仕様を詰めていくという方法を好む。確かに話は早い。だが、その決めた仕様はロクにドキュメント化されずに作業に入る。ドキュメント化とか仕様を文書に落とすということをしないのだから完成までのスピードは早い。だが、細部に関してはドキュメント化されないことがアダになり、間違った修正がなされたり、そもそも忘れられていたり、デグレ(正しく稼働していた部分が別の部分の修正により新たなバグが出てしまう)したりすることが本当によくある。SnapchatやPointと大量の個人情報流出事件はこのようなスピード感を求めるあまり等閑になった部分から火が吹き出したのだろうと思う。


すぐに電話会議、その場で決める、というスタイルは大いに日本人がアメリカ人から学ぶべきものだ。だが、アメリカ人はドキュメンテーションや細かいチェック作業を学ぶべきだ。細かなケアができるのは日本人の特殊性であり、それが原因で生産性が低いのは事実だと思うが、一方でクールジャパンと呼ばれるような他の国にはないエキゾチックなカルチャーを形成する要因となっているのではないだろうか。

断っておくと、私がビジネス経験のある相手はアメリカのテクノロジー系のせいぜい設立10年未満のスタートアップ企業に偏っている。大手や金融といった全く異なるセグメントのアメリカ人は全く違う仕事文化を持っているであろう。逆に自分が大企業のホワイトカラーじゃなくて地域の中小企業の人間だったら、もっとアメリカ人ビジネスパーソンに彼岸の差を感じたかもしれない。そんな一個人の感想であることを断っておきたい。
 
  

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