どの業界にも流行り・廃れというものがありまして、最近のIT業界ではもっぱらモバイルとビッグデータが業界の話題の中心になっています。ビッグデータというのは、通常のデータベースでは扱えないような膨大のデータの集まりから、意味のあるパターンを見つけ出して複雑系を理解し、予測しようというイノベーションです。ビジネスではどのような文脈で使われているかというと、SNSやPOSデータ、会員データベースなどの情報を統合して人々の購買行動を理解し、もっと売れる方法を考え実行するためにビッグデータを使いましょう、というものです。
確かにビッグデータが複数のデータを組み合わせて、一人ひとりの購買行動や消費活動を企業は把握することができるようになりました。しかし、ビッグデータがあればすぐに売上が伸ばせると過度な期待をするのは考えものです。ビッグデータを扱う上で、いくつか本質的な問題があります。
ビッグデータで顧客の購買行動を分析することはできるようになります。しかし、販売量や売上を伸ばすには、分析だけでなく一貫した戦略が必要です。戦略策定と実行のプロセスを単純化すると、傾向を把握し、仮設を立て、仮説を検証し、戦略化し、実行するという流れになります。定量的なデータが意味を持つのはこのプロセスのなかで傾向の把握と仮説の検証だけなのです。戦略を打ち立てる上での肝となるのは、傾向を把握してどのような仮説を立てるか、そしてそれをどのように実行プランに落とし込むかです。
特に仮説を検証する上で重要なのですが、本当に必要なデータがそのデータベースに存在しているのかという問題です。ユニークな仮説であればあるほど、ピンポイントで欲しい情報というのは既存のデータベースに存在せず、自分たちで収集しなければいけないものです。例えば、什器をこのようにレイアウトすると顧客の反応はどう変わるか、のようなシミュレーションは、基本的に自分たちで試してみるしかないのです。
また、データベースが膨大すぎるというのも問題です。エクセルで扱える程度のデータベースであっても、目的意識をもってデータを扱わないと、データに翻弄されて時間を浪費します。予めこういった情報を探してこの検証に役立てる、というプランを考えてからデータベースにアクセスしないと、何か面白い情報があるのではないかと思いつきでデータベースをいじくってしまい、気づくと数時間経っていて何も得られるものがなかった・・・ということが私の経験上もあります。
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