コスト改善策の結果利益率が何倍になったという話をよく聞くが、もともとの利益率が0近いので、少し改善しただけでも数倍という結果を残すことができる。これは利益額でも同じことである。
では売上額ならどうか。売上額は、ある程度成熟した企業なのであれば、急激に何倍にもすることは難しい。しかしその背後に何があったかを調べなければ、やはり騙されてしまうことになる。M&Aや粉飾があれば簡単に売上も偽装できるからだ。
だから、新しくアサインされたCEOがドラマティックに数字を改善させたからといって合格と判断するのは尚早だ。いくらコストを切り詰めて利益を出しても、縮小均衡に陥っていないか質的な結果も見なければならない。
売り上げが伸びたとしても、それが本業によるものなのか、粉飾ではないのか、良い傾向なのかを判断しなければならない。
ビジネスにおいては、まず数字がなければ議論の土台が生まれない。日系企業は、この数字がなくても、思いや配慮やその人の評判で決断が下されることがあるが、これは大きな間違いである。経験がうまく作用したのか、当てずっぽうがうまくいったのか誰も判断ができない。たとえ経験値によってうまくいったのだとしても、再現性が全くない。
一方、数字一辺倒の外資が必ずしもいいわけではない。上で述べてきたように数字はいいように使われて自分の理論をサポートするために使われるからだ。だから、外資系の優秀なマネージャーは自分で数字の裏取りをするはずだ。極論すると、人が出してきた数字は全く信頼すべきないのかもしれない。
自分に都合の良い数字をレジュメに着飾って、目標とするポジションをゲットしようとしているSEがいるかもしれない。自分たちの提案した戦略を採用してもらうために、数字を操るコンサルタントがいるかもしれない。
もちろん部下だって自分に有利な数字を出してくるかもしれない。彼らは巧妙なトリックを使い、決して嘘をついているわけではないので、頭から彼らが出してきた数字を信用して決断をしてしまえば、責任をあなたに移ってしまうのだ。
0 件のコメント :
コメントを投稿