今回はじゃらんや楽天といった旅行ポータルサイトを水平思考で新たなサービスを考えてみます。
まずは手順その1。マーケットレベル(利用者、目的、ベネフィット、利用状況)、製品レベル、マーケティング・ミックスレベルの3つのレベルで現在のサービスを要素分解します。
旅行ポータルサイト
マーケットレベル:
利用者:EC利用者、20-40代
利用目的:旅行先を決めるとき、宿泊先を決めるとき
ベネフィット:自由に旅行先を決められる、パッケージツアーを比較できる
利用状況: 奥さんや恋人と一緒に、自分一人で
製品レベル:
旅行ポータルサイト
マーケティング・ミックスレベル:
Place:WEBサイトが窓口、その場で購入(予約)
Payment:先払い、現地払い、クレジット決済、ポイント決済
Price:安い
このように3つのレベルでいくつか要素を上げたところで、一つのレベルの要素だけをスライドして認識ギャップを生み出します。例えば、製品レベルとマーケティング・ミックスレベルを変えずに、製品が利用される状況(マーケットレベル)だけ変化させます。ここで利用者を大胆に変化させて、小学生が利用する旅行ポータルサイトとします。そうすると当然「なんだそりゃ?」というギャップが生まれます。
このギャップを生み出すためのオペレーションとして、代用、逆転、結合、強調、除去、並べ替え、の6つの技法があります。これらの技法を使って、現在の旅行ポータルサイトの特徴にギャップをもたらします。やってみましょう。
目的の代用:旅行先を考えるときに利用する
目的の逆転:行き先を誰かに決めてもらう、自分でパッケージツアーを作る
ターゲットの結合:幹事だけでなく参加者も、20-40代だけでなく5,60代も
サービスの強調:不満なら無料になる、どの時点でも宿を変えられる・行き先を変えられる
ペイメントの除去:支払い不要、ポイントだけ決済、現地で払わない
製品の並べ替え:行ったあとに泊まるか決める、行ったあとにそこに行くか決める
こうしてギャップを生み出したら候補を一つピックアップし、ギャップ辻褄を合わせるストーリーを作ります。例として自分でパッケージツアーを作る、を採用して考えてみます。
ストーリーを作るときにも3つの技法というか、思考しやすくするためのガイドラインがあります。
1. 購買プロセスを順にたどる、2. ポジティブな側面だけにフォーカス、3. 水平移動が意味を持つ状況探す、の3つになります。
まずはポジティブな側面に光を当てて、どんなベネフィットをユーザーに与えられるかを考えてみます。
自分でパッケージツアーを作れるとしたらどのようなベネフィットがあるでしょうか。好きな場所に行ける、企画だけして手配をプロである旅行社に任せられる、単独で行くよりも安価になるといったところでしょうか。
次のこのようなサービスが価値を持つのはどのような状況でしょうか。ぱっと思いついたのは卒業旅行です。普通のパッケージを利用することもあるかもしれませんが、もっと学生の時にしかできないような、パッケージ旅行では行けない場所への旅行をしたいと思っている学生も多いでしょう。
この2つの気付きを統合すると、新サービスは社会人になるとなかなか旅行するのが難しそうなアジア途上国なんかへの卒業旅行を企画している学生グループがターゲットになります。学生が自分たちで行きたい国や場所を選択し、オーダーメイドのツアーを企画するサービスです。
インターネットをベースにした旅行ポータルサービスというのは変える必要はないでしょう。学生とWebサービスは親和性が高いでしょうから。
学生はあまりお金を持っていませんが、心に残る旅行をしたいと思っているでしょうから、分割払いにも対応するとベネフィットが高まって人気が出るかもしれませんね。
実は、ちょっとターゲットやサービス提供形態は違いますが、似たようなサービスが存在しています。自分たちで旅行パッケージを企画するサービスで、フェイスブック上でサービス提供されています。
日経MJ 2012/11/26 P.11――――――――――――――――――――――
1つの旅行プランに5人以上の賛同者が集まれば、トリッピースの担当者が旅行会社に持ち込み、具体的な旅行日程・価格が決まった旅行商品にしてもらう。利用者にとってはトリッピースの利用自体は無料。支払うのは旅行代金のみだ。トリッピースは旅行商品を企画した旅行会社から仲介手数料を徴収する。つまり成果報酬型の仕組みだ。旅行会社も大学のサークル、部活の旅行や合宿の手配をするように、参加者数と内容が決まった工程を手配するだけなので、デメリットはないという。
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ラテラルマーケティングの思考法方を使えば、旅行ポータルサービスから実際に提供されている新たなサービスの着想に結びつくことをお分かりいただけたと思います。
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