前2回のポストではエムスリーの新規事業開発について考えてきました。前回までのアプローチは、マーケット(製薬会社向けのサービス)を固定して、製薬会社にまだ提供していない新たなベネフィットを提供しようというアプローチでした。
エムスリーの事業開発を考えるたに際して有効なアプローチはもちろんこの方法だけではありません。
今回は他のマーケットへの水平展開のアプローチを考えてみます。
■ 医療向け機器メーカー
最もわかりやすい例としては、製薬会社向けに提供しているサービスを医療向け機器メーカーに適用するという方法です。提供するサービスは下記のようなものが考えられます。
・情報発信
製薬会社と同じように、医療向け機器メーカーも新製品の企画や既存製品のブラッシュアップのために最新の医療情報を必要とします。このサービスは医者向け製薬会社向けに既に提供しているとすれば、大した変更を加えずともそのまま提供できますね。
・市場調査支援
現在の医療機器にどのような不満を感じているか、どのような要望があるのかをポータルで医師から聞き取るサービスです。アンケートや投票、フォーラムの作成など、いろいろ方法は考えられます。
・広告コンサルティング
エムスリーのポータル上での広告やプロモーションに関するコンサルティングサービスを提供します。単純に広告枠を販売するのではなく、広告記事の作成やプロモーションイベントの企画といったものがサービスになるでしょうか。
医療機器メーカーの広告・プロモーションの支援を行う上では、病院だけでなく実際の機器選定を行うSIerを意識しなければいけません。
SIerは機器の選定に際してWebで最初のリサーチをすることが多いので、SIer向けの医療IT機器のポータルサイトを立ち上げることが必要になるかもしれません。
・流通代行
・発注・決済サービス
流通と発注・決済サービスはセットで考えると良いでしょう。発注・決済サービスを病院・医療機関向けにサービス提供し、流通サービスを医療機器メーカーへ提供します。
流通の入口と出口の両方を押さえることができると非常に強いです。
顧客の要求を汲み取って迅速にサービスに反映することができますし、メーカーへジャストインタイムな需要予測を提供することができます。
こうなると、他の流通業者を締め出すほど質の高いサービスを病院とメーカー双方へ提供できる可能性を秘めています。
・フィードバック支援
これも製薬会社と同じように、医療機器メーカーもユーザーである医者からのフィードバックを欲しているはずです。アンケートや投票で効率良くフィードバックを得られる仕組みを作り出せれば、医療機器メーカーの次の製品開発や製品改善に役立つでしょう。
■ 医者個人向けのサービス
エムスリーの資産である圧倒的な医者の登録会員数。上手く活用すれば、大きな利益を生み出す源泉になります。
・富裕層向けサービス
医者向けにFPの紹介や資産管理サービス、不動産の投資物件紹介など、このプラットフォームを利用して医者にアプローチしたいという企業は沢山いるはずです。しかし、収益欲しさに有象無象なんでも広告を載せているようでは却ってポータルサイトの質を落とすことになるので、エンドユーザーの医師にとって利益のある商品だけを厳選すべきでしょう。
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