ルートサイクロンテクノロジーで、強力な吸引力でごみを吸っても吸引力が落ちないという特徴を持っています。
さらに紙パックを必要としないのでエコです。
ダイソンが登場する以前、掃除機は完全にコモディティと化していました。
どの掃除機も当たり前のようにそれなりの負担を強いられる紙パックを使い、ごみが溜まってくると吸引力が落ちてくるのを当たり前のものとして受け止められてきました。
しかし、ダイソンはこれまでの掃除機製品市場では当たり前だった不便さを、技術イノベーションで解決したのです。
掃除機市場における、いわゆる商品軸(技術イノベーションで他社との差別化を実現する)のポジショニングを獲得したのです。
その結果、根強いファンを獲得しプレミアム価格をキープしています。
掃除機の中心価格帯が1〜2万円なのに対し、ダイソンの商品は5〜8万円と数倍の価格を維持しています。
しかし、これだけ高価格を維持できているのは、技術力だけが理由なのではありません。
ダイソンの掃除機が売れ始めてから、様々なメーカーから同じようなサイクロンテクノロジーを活用した類似商品が発売されました。
紙パック不要でごみを吸っても吸引力が変わらないという同じような特徴を持っていて、ダイソンが競争の中で埋もれてしまってもおかしくない状況です。
それでもダイソンは売れ続けており、掃除機市場の主流となったサイクロン掃除機でナンバーワンの人気を維持しています。
なぜ技術力が高い上に安価なシャープや東芝のサイクロン掃除機が勝てないのでしょうか?
ポイントはマーケティングにあると思います。
ダイソンは自社が商品軸で差別化していることを理解し、技術イノベーションを全面に押し出した広報活動を行っています。
ダイソンのCMを見たことがある方も多いと思いますが、ダイソンのCMはひたすら吸引力が変わらないという訴求ポイントと、それを支える技術について語っているのです。
そして、ルートサイクロンテクノロジーを採用した掃除機を最初に普及させたという先行者としてのブランドもあるでしょう。
一方、シャープや東芝のサイクロン掃除機紹介ページでは、吸引力は変わらないことはもちろん、軽さだったり音の小ささだったり、果てにはプラズマクラスター搭載だったりと、様々なメリットを詰め込んでトータルでのお得さをアピールしています。
サイクロン掃除機を求めるのは商品軸のベネフィットを求める顧客(=高価格でも高品質な製品を使いたいというニーズを持つ顧客)です。
ダイソンはこの顧客に対して、技術力とその結果得られる効果を明確に伝えている一方、日本の家電メーカーは安くてそれなりに良い商品を使いたい消費者層に対してメッセージを送っています。
ダイソンが成功している要因はルートサイクロンテクノロジーに代表される技術力だけでなく、自社の顧客を正しく理解し、正しいメッセージを伝えるマーケティング活動に支えられています。
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