サントリーは国内ウィスキー市場で6割ほどのシェアを占める、ウィスキーの最大手です。
ウィスキーは2008年頃にサントリーがハイボールのプロモーションでウィスキー市場を再活性化するまで、20年以上にわたって規模を縮小し続けていました。
しかし、2010年にプロモーションの効果が出てハイボールブームが巻き起こり、実に前年比14%増となりました。
サントリーはまだまだ手を緩めず、次のプロモーションに打って出ています。
その内容を見てみましょう。
□■ ウィスキー啓蒙のための店舗運営 ■□
サントリーは有楽町に「ウイスキー・ボトル・バー・デン・日比谷」をオープン。
初心者の若者を引きつけるため価格を明瞭にし、価格設定も比較的低価格にした店舗です。(それでもチャージだけで男性5000円、女性3000円もしますが)
主力商品は「響12年」など高級ウィスキーを中心としたラインナップです。[日経MJ 2012/12/28 P.14]
メーカー直営店の飲食店というのは珍しいですね。
メーカーが自前でやっている飲食店と聞くと、製品の質や店員の知識など接客の質も高そうなプラスのイメージがあります。
なぜサントリーがこのような取り組みをするのかというと、2つ目的があると思います。
■ 高級ウィスキーの啓蒙
よく新聞で書かれていますが、最近の20〜30代は飲酒量が昔と比べて大幅に減っているそうです。
自宅で一人でお酒を嗜むという行動も見られるようですが、最近はやりの低アルコール飲料であることが多いのだそうです。
プレミアムビールのプレミアムモルツやウィスキーを主力とするサントリーからすると、主力商品と若者の飲酒行動にズレがあります。
今後数十年にわたってメイン顧客層を形成する若者をなんとか取り込まなければいけません。
これはハイボールが普及した今でもサントリーの課題なのでしょう。
若者を低アルコール飲料やハイボールから高級ウィスキーへ誘導することが、直営店のバー開設の一つの目的だと思います。
■ 外飲みから自宅消費へ(Public to Home)
ハイボールはサントリーのプロモーションのおかげで、食事や飲み会でみんなでわいわい飲むというイメージが付きました。
サントリーは飲食店でのウイスキーの普及という意味では、ある程度満足のいく結果を出しているはずです。
一方、上でもあげましたが、自宅で一人で嗜むときは低アルコール飲料が多くまだまだシェアを伸ばす余地があります。
ハイボールは言わばウイスキーに興味がなかった消費者をウイスキー好きにさせるための導入商品(フロントエンド)。
本当に買って欲しい商品(バックエンド)、もっと正しく言うと得たい消費者の行動は、日常的に高級ウィスキーを愛飲してもらうことでしょう。
サントリーは直営店のバーで高級ウイスキーのファンを創出し、自宅でも高級ウイスキーを嗜むという消費行動を創りだそうとしているのでしょう。
そのための直営店バーによるウィスキーの啓蒙活動なのです。
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