マクドナルドや牛丼チェーンのように圧倒的な低価格でもなく、ミシュラン・ガイドで星がつくような圧倒的な品質を誇るわけでもないレストランが世の中には無数存在しています。
こうした特徴ない飲食店は立地でしか差別化することはできないのでしょうか。
低価格でも品質でも競合に勝てないレストランが競争を優位に進める方法がもう一つ存在します。
それは、圧倒的な顧客サービスでお客様にまた来てもらいたいと思ってもらうことです。
お客様に、「あそこは気がきくし、私のお店って感じがするからまた行きたいなぁ」というベネフィットを感じてもらうことです。
そんなサービスをITシステムと人のスキルで具現化している例を見てみましょう。
東京南青山の高級イタリア料理店ではPOSシステムに詳細な顧客情報を登録して「気が利いた」顧客サービスに役立てています。
POSシステムには顧客の属性情報や注文した料理の情報だけでなく、注文したお酒の銘柄や食べる速度まで記録しています。
これだけ細かい情報を集めるレストランも少ないと思いますがこうした情報を集めるだけでなく、情報を活用する仕組みがしっかりルール化されているのです。
例えば、次回来店時に注文したワインが初回よりも高級なワインであれば、初回のワインに満足していただいているという仮設を立ててワインの提案に活かすというルールがあります。
ただただ注文履歴を集めるだけでなく、それらをどのように使うかがルール化されているから従業員が誰でも均一で質の高いサービスが提供できるのです。
集めた情報をどのように使うかが定義されていなければ、結局ベテラン頼みのサービスになってしまいます。
もちろんPOSというITシステムだけに頼るのではなく、人にしかできない気遣いも大切にしています。
例えば予約時に、例えばプライベートな食事なのか接待なのか、社内の食事会なのか、という利用用途を聞き出し、誰を一番もてなすべきなのかというのを事前に把握して当日のサービスに活かしています。
その聞き取りができていなければ、最初の乾杯の際に観察してどのような用途なのかを理解し、順次サービスに活かしていくのです。
このように、優れた密着型サービスで差別化しているレストランはITと人による優れたサービスを生み出す仕組みが存在しています。
システムも情報を入力して取り出すだけでなく、どの情報を使って何を判断し、そしてどのように行動すれば良いのかがルール化されています。
こうした仕組みがあるので、入社間もないような人もベテランもサービスのばらつきが無く質の高いサービスが提供できます。
そして、ベテランが流出すると同時に顧客も流出してしまう事態を防げるのです。
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