
つい数年前まではこれら日本のプライドでもあった大企業でリストラが行われるなんて誰も想像していなかった。
それが今やリストラによるコスト削減で立て直しに四苦八苦している。
そしてリストラが一巡したあとの成長戦略もはっきりしない。
特にこれからの主戦場となるアジアを中心とした海外市場で日本はどのようなポジションを確立できるだろうか?
■□スマートフォンの脅威□■
このダイヤモンド・オンラインの記事を読むと、アジア新興国市場ではスマートフォンがカメラやテレビ、DVDなどのマルチメディア機器市場を侵食しつつある可能性を示唆している。
中国では、旅行やイベントの写真を見せて友達や家族と経験を共有するためにカメラを使うらしい。
中国だけでなく、他の国々でもわりとスタンダードな使い方だ。
写真を共有して経験を分かちあうという使い方を好む人々にとっては、スマートフォンのカメラの品質で十分なのだ。
しかもその場ですぐにシェアできる分、コンデジなどより目的にあっている。
バングラディッシュなどの途上国では、テレビではなくYoutubeを見る人が増えているらしい。
途上国ではテレビのコンテンツもあまり発展していないのだろうか。
もしコンテンツが国内に不足しているのであれば、国内コンテンツしか見れないテレビよりも、世界中のコンテンツが閲覧できるYoutubeに傾倒するのも無理のないこと。
Youtubeの閲覧もやはり、スマートフォンがあれば事足りてしまう。
様々なマルチメディア機器の代わりを担っているスマートフォンでも日本メーカーの影は薄い。
いろんな付加価値がついているガラパゴススマホは必要とされていない。
ZTEやファーウェイ、シャオミーなどの安価なスマホで十分なのだ。
コンテンツは欧米や中国のクラウドサービスで提供され、コンテンツを閲覧するためのスマートフォンやタブレットは中国韓国の廉価メーカーによって供給される。
日本はどこで生き残っていけるのだろう?
■□日本のマルチメディア機器メーカーの活路□■
新聞の記事を見ていると、日本の電機メーカーはお家芸とも言えるカメラ、テレビ、AV機器といったマルチメディア機器分野で高付加価値化を徹底していくようだ。
特に安価な中国製品が出まわるアジアを中心とした海外市場では。
この選択も複数の選択肢から高付加価値路線を選択したというよりは、バリューゾーンや低付加価値低価格では中国韓国のメーカーに太刀打ちできなくなってしまったので高付加価値化路線という考えなのだろう。
しかし、スマートフォンがマルチメディア機器を侵食しつつある状況では結果オーライかもしれない。
スマートフォンはコンデジやちっちゃいテレビ代わりにはなるが、一眼デジカメや高精細テレビの代わりには成り得ない。
そういった意味では、スマートフォンの多機能化により最もパイを奪われるのは中国のマルチメディア機器製造メーカーかもしれない。
とは言うものの、バリューゾーンの商品から高付加価値商品へ特化するということは、日本のマルチメディア機器メーカーに大きな覚悟を求める。
バリュゾーンを売っていた時代はターゲット顧客は市場の中でマスであったが、高付加価値商品が狙うターゲットはニッチだからだ。
会社の規模にしろ組織形態にしろ、大きな変化が要求されることになるだろう。
今のシャープやソニー、NECに、会社をドラスティックに変化させることができるだろうか?
トヨタからポルシェに変わることはできるだろうか?
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