
バイク屋の利益構造は新車販売が大きな利益を生み出していると思われがちだが、実はそうではない。
無論新車販売での利益も出るが、利益率と販売数量からしても、中古車販売とメンテナンスが大きな割合を占める。
新車販売はバイク屋にとって利益が薄い商品だ。
仕入れ値が高く、低下の10%〜25%引き程度でしか仕入れができないという。
25%というのは全国展開している超大型店の仕入れ値引き率であり、小さな個人店や小規模なチェーン店では10%〜15%程度の仕入れ値引き率なのだそうだ。
そこから顧客に対して値引きをするとすれば、いかに中小規模のバイク屋の新車販売利益率が低いかがお分かりいただけるだろう。
一方、中古車販売は全体的に利益率が高く、下取り価格に30%以上の利益率をのせることも少なくないという。
とは言うものの、小規模な販売店ではバイクを在庫しておくことが難しい。
個人店では敷地の問題で、せいぜい十数台程度しか在庫しておけない。
実質的に中古車販売の利益だけでやっていくのは難しいだろう。
では大手のチェーン店はともかく、中小規模のバイク屋がどのように商売を成り立たせているのかといえば、バイク販売後のメンテナンスだ。
例として、一番手早く技術もいらないオイル交換は工賃1000円〜1500円程度だが、少なくとも半年に一回程度は必要になる作業だ。
同じく消耗品のタイヤ交換は前後で5000円前後になるが、頻度は半年に1回〜数年に1回と走行距離によってばらつきがある。
もっと手の込んだ作業になると、フロントフォークのメンテナンスなんかは2万円程度も工賃がかかる。
こうしたメンテナンス費用の年間総額は、その人の走行距離とメンテナンスへのお金のかけ具合にもよるが、1〜5万円程度になるだろう。
バイクの場合は維持のためのメンテナンスに限らず、バイクを自分だけの一台にするためのカスタム需要も旺盛だ。
パーツの取付であれば、工賃はやはり数千円〜2万程度が相場になるが、カスタムモデルと呼ばれるような大幅な改造に数十万円〜数百万円かける人も少なくない。
こうしたメンテナンス等の作業工賃は必要な交換パーツのコストを含まない。
顧客が負担するからだ。
このため、工具や設備などの資産の償却とグリスなどの消耗品以外はほとんど丸々粗利になるのだ。
さらに、バイク屋によっては郵便局や新聞配達店などの業務に大量のバイクを使用する企業とメンテナンス契約を結び、大きな利益を上げているという。
このように、中小のバイク屋はバイクの販売利益のみならず、実は大きな割合をメンテンナンスやカスタムの工賃に依存している。
特に利幅の薄い新車バイクの販売は、その後のメンテナンスを自店で行なってもらうための囲い込みの手段という位置づけとも見て取れる。
スライウォツキーのいわゆるインストールベース利益モデルを踏襲したビジネスだ。
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