
アイリスオーヤマと山善は、斜陽の日本の家電メーカーの中でも上り調子にある中堅家電メーカーだ。どちらの企業もこのブログで取り上げたことがあり、筆者が注目している企業だ。
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アイリスオーヤマは自らを「メーカーベンダー」と名乗るように、製造だけでなく販売にも積極的に関わることによって、適正価格で、消費者が求める等身大の製品の企画・製造を可能にし、そしてユーザーの生の声を拾い上げることに成功している。特にユーザーの生の声を拾うのに大きな役割を果たしているのが「セールスエイドスタッフ(SAS)」と呼ばれる、アイリスオーヤマが販売店に派遣する販売員パートタイマーの存在だ。
SASはホームセンターなどアイリスオーヤマの主要な販売店でアイリスオーヤマ製品の商品説明や実演で販促活動を行ったり、逆にユーザーの生の声を拾い上げて製品企画へフィードバックするという役割を持っている。現在1000店舗ほどに配置され、彼女らは基本パートタイマーだ。
SASの存在は販売の促進と、よりユーザーに密着した製品の開発に繋がっており、アイリスオーヤマの成長に大きく貢献している。
そんなアイリスオーヤマが、さらに販売店でSASの販促効果を高めるための新たな試みが新聞に取り上げられている。
日経MJ 2013/8/11 P.11―――――――――
生活用品製造卸のアイリスオーヤマ(仙台市)は、ホームセンターの主要通路に目立たせて配置する「島陳列」を展開する。同社商品のみを扱う。白物家電と発光ダイオード(LED)シーリングライトでそれぞれ1000店舗に導入する。既に展開している地域では販売が増えており、年内をメドに導入店舗を増やし年末商戦で販売を拡大する。
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什器はアイリスオーヤマが提供するようだが、島陳列をホームセンター1000店舗へ展開させてもらえるという事実からするとアイリスオーヤマの製品はホームセンターの売上・利益に貢献し、同社の発言力が高まっていることが伺える。
島陳列の戦略的要素は、マインドフロー理論における認知・興味・行動・比較フェーズで競合優位性を獲得することにある。島陳列は通常店舗入口付近など目につきやすい位置に配置され、顧客の認知を得られる。そこでSASが商品の強みを説明することにより興味が生まれ、実際に商品を見る・手にとってみるという行動を生み出す。
製品の信頼性が高く、価格的にも大手メーカーより安価で名の知れない中国メーカーと同等レベルの価格設定なので、最終的に顧客の購買行動につながる可能性は高い。
SASは競合他社と比較してアイリスオーヤマ独自の大きな差別化要素であるが、そこへさらに専用陳列什器を展開することで販売力をさらに高める。昨年から島陳列の試みは行われていて、陳列商品の売上が500%増となった店舗もあったようだ。
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