
マーケティングのプロフェッショナルであっても、百発百中で当たるプロモーション活動をできる人はいないだろう。競合やマーケットの状況によって打ち手が変わるし、その状況は常に変化し続けている。しかし、状況は無限にあれど、本質的な法則というものは存在しているはずだ。
アル・ライズとジャック・トラウトの共著「売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則」は、マーケティングとは顧客の心のなかに自社商品の居場所を作るための作業であることが端的で分かりやすく示されている。顧客の心の中に商品の居場所を作る
マーケティングの目的は極めてシンプルだ。ターゲット顧客に自社商品を認識してもらい、覚えてもらい、より多く購入してもらう事だ。あらゆるマーケティング施策やプロモーションはこの目的を達するために、顧客の心の中で自社商品の居場所を作るための戦略・戦術なのだ。
ポイントは、どれだけお金をかけた広告やプロモーションであろうと、顧客の心の中に狙った通りのポジショニングで入り込めなければ失敗であるということ。そして成功と失敗には22のパターンがあることを、「売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則」で紹介されている。
ベーシックな法則
22の法則の中でも、最も基本的かつ重要ないくつかの法則について紹介しよう。
■カテゴリーの一番手になること
自社の商品をあるカテゴリーで記憶してもらおうと思うならば、そのカテゴリーの商品の一番手になることが重要だ。別の言い方をすると、新しいカテゴリーを作るということ。
新しいカテゴリーを創りだした商品の商品名、または企業名は、そのカテゴリー名になることがままある。日本では馴染みが薄いかもしれないが、海外ではコピー機を「ゼロックス」と呼ぶことがある。これはゼロックスが最初に企業向けコピー機を普及させたからだ。
■顧客へ何を伝えたかではなくて、顧客は何を受け取ったか
カテゴリーの一番手になるということは、必ずしもカテゴリーで初めての製品である必要はない。企業は新商品が全く新しいカテゴリーの商品であることを明確に伝えなければ、顧客はしばしば既存カテゴリーの亜種としてみなし、覚えてくれない。だから商品がいくら斬新であったとしても、企業はその商品が一体なんであるのか、顧客教育を行うべきなのだ。
ただし、新しいカテゴリーはターゲット顧客にとって全く意味のない新しいカテゴリーでは覚えてもらえない。そのターゲットが抱えている何らかのペイン(課題)を解決するカテゴリーでなければならない。
そして、新しい商品と新しいカテゴリーの結びつきは、分かりやすい商品名で表すと効果が高い。Appleは既存のラップトップと比較して圧倒的に薄くて軽い(実はさほど軽くはないけれど)PCの新カテゴリー「ウルトラブック」の一番手商品に「MacBook Air」という商品名を付けた。Airという部分が、いかに薄くて軽いのかを分かりやすく示している。
「売れるもマーケ 当たるもマーケ マーケティング22の法則」には他にも様々なマーケティングの法則が、分かりやすい事例と説明で紹介されている。マーケティングに携わる人はチェックリストとして使ってみてはどうだろうか。
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