
他社とパートナーシップを締結する上で、信頼感を高めるために必要なポイントについての続き。前回に続いてコミュニケーションにおける重要なポイントと、いざビジネスの局面に入った時に重要なポイントについて書いていきたい。
■ステークホルダー全員との面通し
相手と面の接点を持つというコンセプトに似ているが、何かのプロジェクトをスタートする際、できるだけステークホルダー全員が顔合わせをしておくことは重要な事だ。誰が何を担当しているのか、それがどんな人なのか、そして相手の組織の中で各人はどういう関係性にあるのか、多くのことを知ることができる。必ずしもロジカルに説明できないが、経験則からその組織とパートナーシップを結ぶことで、プロジェクトを進める上でどんなリスクがあるか、どんなことにパフォーマンスを発揮してくれる相手なのか、なんとなく直感的に見えてくるだろう。
ステークホルダー同士の面通しをするなら、古典的な方法ではあるがやはり飲みの席が良いだろう。円滑なコミュニケーションが取れるよう、うるさすぎないような場所でできるだけ個室がいい。もちろんビジネスミーティングの場でも構わないが、全員がくつろいで話せるような雰囲気作りが不可欠だ。
これからパートナーシップを結ぶことを検討している相手にステークホルダー全員から歓待を受けたりすると、ステークホルダーの一人か二人から歓待されるよりも好意的な印象を持ち、一緒にやっていきたいという前向きな気持ちになるだろう。相手に自社とのパートナーシップに興味を持って欲しい場合は意識してこの心理効果を使うと良いだろう。
逆に、自社がパートナーを選択しようとしている時には良い印象というバイアスがかかっているかもしれないので、注意が必要だ。ビジネスにおいては、情が移ってもロジカルに判断すべきことを忘れてはいけない。
<ビジネス編>
いざ将来のパートナーとビジネストークを始めると、相手の様々な面が見えてくる。特に相手のビジネスに対する姿勢が第一印象と異なることに驚くことも多いはずだ。コミュニケーションの時点では上手く信頼が築けていても、実際にビジネスを開始するとボロが出てしまうことがある。
■小さな実績を積み上げる
ビジネスの場で相手のどういう行為に信頼を置くかというのは人によってポイントが異なるだろう。だが、一つ確実に言えることは、一つの成功よりも一つの失敗の方が強い印象をもたらすということだ。良いことを2,3続けていても1回失敗をしてしまうと悪い印象のほうが強く残ってしまい信頼感を損ねる。
ここで言う「失敗」という言葉には少し説明が必要だ。私がここで言う「失敗」は、何か難しい問題に挑戦して失敗した事を言っているのではなく、怠惰や挑戦しなかったことを失敗と呼んでいる。一般論で言えば、ある指標を5%改善しようとしてこうした対策を行ったが3.7%しか改善しなかったという事実も、忙しいとかリソースが足りないとかそもそも改善のために手を打たなかったという事実も、等しく失敗という言葉で語られるかもしれない。だが、信頼感に関して言えば、前者と後者には雲泥の差があるのはお分かりだろう。
何も挑戦しなかった相手には、マイナスの評価しかしようがないが、トライした結果まだ課題が見つかったなら、次はもっと良くなるという期待が相手にできる。だからこそ、小さなプログレスであっても相手の信頼感に応えるためにに小さな実績を積み上げることは大変重要なのだ。世の中には自分自らやると言ったことすら全くやっていない人があまりにも多い。
相手にコミットしたことをしっかり実行し、実行した結果をちゃんと説明して次の展開を検討する。それができる相手が健全なパートナーだ。ただし、挑戦して失敗することに対する許容度は相手や状況によって異なることを理解しておくべきだろう。
次回でパートナーシップのエントリーを締めくくりたい。
0 件のコメント :
コメントを投稿