
チャットアプリのLINEがECに本腰を入れはじめた。LINE MALLという個人・企業が手軽に商品を出品できるECプラットフォームアプリを、まずは12/20からAndroid向けに提供を開始し始めた。まだプレオープンの状態であり、グランドオープンは来年春を予定している。
ネットビジネス界隈では既に大きな話題になっているLINE MALL。LINE MALLがどんな強みを持っているのか考えてみたい。
■膨大なユーザーベース
まずLINEがECを開始することのメリットは、何よりもLINEのユーザーベースを利用できることにある。
LINEは国内だけでも5000万ユーザーという、国民の40%以上にのぼるシェアを有している。国内のスマートフォン所有者は5000万人強と推測され、LINEは国内スマートフォン所有者の90%が利用しているとも言われている。また、海外に目を向ければ3億ユーザーというこれまた膨大なユーザー数が存在する。特に最近消費意欲が高まってきている東南アジア圏のユーザーが多いのもECとのシナジー効果が見込める。
日本でLINE MALLと同じくCtoC、BtoCの両方を兼ね備えるECプラットフォーム最大手といえば、ヤフオクだろう。ヤフオクは2013年現在ユニークブラウザベースでは2700万人が利用しているようだ。複数端末・複数ブラウザを使用している人やクッキー拒否も考えれば、実利用者数はもっと少ない。ヤフオクは15年かけてこのユーザーベースを獲得してきたが、LINEは現在の国内ユーザーの3割から4割くらいのユーザーに使ってもらえれば同じ規模のユーザーベースを獲得できる。Yahooの何分の一かの時間で同じ規模を獲得するのに十分な実現性を持っている。
■ユーザー負荷の少ないシンプルな設計
LINEが持つ国内5000万と全国3億のユーザーベースを活用できるか否かは、ユーザーの負荷をいかに下げられるかにかかっている。そういう観点でもLINE MALLには成功の予感を感じさせる。
例えば、LINEユーザーがLINE MALLを使い始めようと思ったら、一切何の審査もなく思い立ったらすぐに利用し始めることができる(企業の出品は除く)。最近はヤフオクの条件が緩和されたが、以前はクレジットカードを登録して月額利用料を払わなければ、出品はおろか5000円以上の入札もできなかった。LINE MALLではこういっためんどくささとは無縁で思い立ったらすぐに出品ができるらしい。
審査なしで誰でも出品できるとなると、逆にヤフオクでも横行した詐欺が気になるところだ。だが、LINEは後発だけあって利用者のリスク回避を十分に考えている。LINE MALLでは出品者への入金を、商品が購入者に到着するまで差し止めるという仕組みを採用している。(下図参照)

■LINEポイントの連携があるか?
LINEの発表によると、このアプリは商品を十分に吟味して購入するような「指名買い」ではなくて、衝動買いを誘う「発見型」のモールにすることを目指しているようだ。単価は比較的少額になるだろうが、このサービスがコンビニでも販売しているプリペイド式LINEポイントと連携しだすと強い。
LINEの利用者は高校生や大学生など、クレジットカードを持たない世代のパイが大きい。そして、一点ものの低単価商品のウィンドウショッピングも高校生や大学生との親和性が高いと思われる。だが、現在のところLINE MALLはこうしたターゲットにはハードルの高いクレジットカード決済やPay-easyなどの決済にしか対応していない。これがコンビニで購入できるプリペイドポイントにまで広がると、利用者の裾野が大きく広がる。グランドオープン時にはLINEポイントでも決済できるようになるのではないだろうか。
LINE MALLはLINEの膨大なユーザーベースと利用しやすいしくみでもって、巨大「一点モノウィンドウショッピングモール」になる可能性が十分にあると思う。いよいよLINEが本格的に換金化に乗り出したというところか。
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